LGBTQ+に対する意識と知識、当事者と企業などの関係についての調査です。
電通でダイバーシティ&インクルージョン領域の調査・分析、ソリューション開発を専門とする組織「電通ダイバーシティ・ラボ」は、PRソリューション局と共同で「LGBTQ+調査」を実施しました。
電通はこれまで2012年、2015年、2018年と3回にわたり「LGBT調査」を実施してきましたが、4回目となる今回の調査では、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)だけでなく、多様なセクシュアリティの内訳についても詳細な分析を行っています。調査期間は2020年12月17〜18日。調査対象は全国の20〜59歳の個人6万人に事前スクリーニング調査を実施して抽出した6240人(LGBTQ+層該当者555人、ストレート層該当者5685人)です。
今回の調査ではセクシュアリティを出生時に割り当てられた性(出生性)、本人が認識する性(性自認)、好きになる相手の性(性的指向)の3つの組み合せで分類し、ストレート層(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する人)と答えた人以外をLGBTQ+層と定義しています。LGBTQ+層に該当する人は2018年の調査と変わらず、8.9%となりました。
LGBTという言葉の浸透率は2018年調査の68.5%から11.6ポイント高い80.1%となりました。「L」「G」「B」「T」それぞれについての認知も進んでいます。しかし、それ以外の性の多様性についての認知度はいまだ低い結果となりました。
今回の調査では、ストレート層(5685人)に、LGBTQ+に対してどのような考えを持っているのか複数の質問を行い、因子を課題意識、配慮意識、生理的嫌悪、社会影響懸念、知識の5つに分けて分析。以下6つのクラスタに分類しています。
分析の結果、最も多かった層は、LGBTQ+に関する知識はあるものの課題意識があまり高くない「知識ある他人事層」(34.1%)でした。LGBTQ+について耳にしたことはあっても周囲に当事者がいないなどの理由で自分事として考えるきっかけがないこの層は、ストレート層全体よりもやや男性が多め。首都圏在住者比率がやや高くなっています。また、人間関係にあまり積極的ではないという特徴があります。
調査を担当した電通の吉本妙子氏は「平等な社会の実現への第一歩はこの層に当事者が抱える課題感を啓発していくことにある」と述べています。
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