コロナ禍で急伸する世界の動画市場 OTTの拡大と企業のDXニーズが後押しBrightcoveのCEOが語る

ブライトコーブは2020年3月16日にメディア向け戦略発表会をオンラインで開催。コロナ禍で成長を続ける世界の動画市場と、そこで同社が果たす役割について説明した。

» 2021年03月19日 19時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

 ビジネス向け動画配信システムを提供するBrightcoveは70以上の国でサービスを展開し、約3370の顧客を抱える。2020年の収益は1億9700万ドルに達した。1週間に8億7500万再生、1年間でインターネット全体に流れたビデオストリームの約2%がBrightcoveのシステムを経由しているという。Brightcoveの従業員数は世界中で約600人、現時点で13カ国に拠点を構え、日本では2008年からサービスを提供している。

 Brightcoveの日本法人であるブライトコーブは2020年3月16日にメディア向け戦略発表会をオンラインで開催。世界と日本の動画市場の動向とBrightcoveの現状、今後の展開について幹部が語った。

世界の動画市場とBrightcove

Brightcove CEOのジェフ・レイ氏

 「動画は最も強力なコミュニケーション媒体であり情報と情緒を伝える優れた手段。動画の力はこれまで以上に増している」と切り出したのはBrightcove CEOのジェフ・レイ氏だ。

 かつては放送局が編成をコントロールしたコンテンツをテレビという特定のデバイスを通じて配信していた。視聴者は部屋でテレビの前に座ってそれを受け取るより他にすべがなかった。しかし、オンライン動画の出現によって視聴者はいつでもどこでも好きなデバイスを通じて自由な視聴行動を取ることができるようになった。

 このトレンドに拍車を掛けたのが新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の拡大だ。世界中の人々が外出制限を余儀なくされ、いわゆる「巣ごもり消費」の一つとしてオンライン動画コンテンツの需要が急増した。同社のレポート「Global Video Index」(2020年10〜12月版)によると2020年の動画視聴は北米で前年比78%、オーストラリアとニュージーランドで215%、ラテンアメリカで132%、欧州で90%伸びた。

 放送局やメディア企業はオンライン動画による新たな収益化の手段を模索している。一般企業もまた、従業員やパートナー、フランチャイズ加盟店、サプライチェーンへ自社のストーリーを語るため、そしてもちろん自社の製品やサービスを売るためにオンライン動画を活用している。コロナ禍でイベントの開催が困難になり、オンラインイベントへの移行が進んだ。世界最大級のクリエイティブカンファレンスイベント「SXSW」も2021年は完全オンライン開催となったが、Brightcoveはその公式動画配信プラットフォームとしてパートナーシップ契約を締結している。

 「われわれのチームはオンライン動画の力を目の当たりにした。今後、超高品質で信頼性の高い、放送並みの動画コンテンツがどこでも、どのデバイスからも視聴されるようになると信じている。それを実現するため、われわれは拡張性があって安全で信頼できるプラットフォームを提供する」(レイ氏)

拡大する動画ニーズ(出典:ブライトコーブ、以下同)

日本では小売・ECカテゴリーの動画利用が激増

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