まずはスモールスタートで。今回は、ウェビナーを実施するための体制や必要な環境について、配信ツールを中心に解説します。
これまで、ウェビナーの種類や基本的な考え方について説明しました。B2Bマーケティングの中でウェビナーはリード獲得に効果的であるということ、その半面、案件化には時間がかかるためにフォローアップなどの施策が重要であることをご理解いただけたと思います。今回は、それらの基本を踏まえてウェビナーを実施するための体制や必要な環境について、解説します。
ウェビナーを開催するに当たっては、まず目的を整理することが重要です。当たり前と思われるかもしれませんが、「ところで効果はどうだったのか」と、上層部に聞かれて「はい、たくさんの参加者が集まりました」としか答えられないのでは悲しい未来しか見えないですよね。
目的を考える上では音部大輔さんの『なぜ「戦略」で差がつくのか。―戦略思考でマーケティングは強くなる―』(宣伝会議)を一読されることをおすすめします。この本の中では、目的を設定するための道具として、「SMAC」というコンセプトが述べられており、ウェビナーの目的の整理にもこのSMACが役に立ちます。SMACとは以下の4つの頭文字です。
企業がウェビナーを開催するに当たっては、社会貢献活動や採用などを別とすればほとんどの場合、製品やサービスを購入してもらうことが最終ゴールとなっているはずです。B2Bマーケティングにおけるウェビナーの目的は、そのための案件創出であり「リード」獲得ということになります。
しかし、前回の記事でも述べたように、この集客とリードの数の考え方が、ウェビナーとリアルセミナーでは、大きく異なります。リアルなセミナーに参加するためには一般的に上長の許可や部署への報告、事後のレポート提出が必要になりますが、気軽に参加できるウェビナーであれば、上司の承認なしで自主的に参加することにもあまり抵抗はないと思います。この気軽さは集客のハードルを下げます。その半面、Webで情報収集するのと同じ程度の感覚で参加する人も多く、質の低いリード情報を収集することに終始してしまいがちです。そのことを踏まえ、ウェビナーにおけるリード獲得は、リアルセミナーよりも高い目標数値を設定する必要があります。
ウェビナーの目的をはっきりさせたら、早速始めてみましょう。あまり大掛かりなことをする必要はありません。まずはスモールスタートで始めてみましょう。
実際に集客する前に、社内の人向けにウェビナーを開催してみることをお勧めします。社内で試験的に開催してみることで一連の流れを経験でき、かつ社内を巻き込むことができるからです。
ウェビナー開催に当たっては、講師になってくれる人やその上司、広報・宣伝担当や経営層など、関係部門の協力が必要になりますが、実際にやってみることで、さまざまなポイントがつかめます。社内メンバーを巻き込むことで、プロジェクトとしての一体感が生まれます。「なるほどこういう感じになるんだね」「もうちょっとスライドの文字を大きくした方がいいのでは」などと意見やアドバイスが出てくると、皆が当事者になっていきます。
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