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» 2020年04月15日 08時00分 公開

「Adobe Summit 2020」レポート:制約下のB2Bマーケティング Adobeが提唱する3つの戦略 (1/2)

Adobeのグローバルオンラインイベントから、「B2Bにおける顧客体験の新時代」と題したプレゼンテーションの内容を紹介する。

[冨永裕子,ITmedia マーケティング]

 制約こそが最も強力な創造性を育む――。旧MarketoのCMO(最高マーケティング責任者)で現在はAdobeバイスプレジデント(Adobe Experience Cloud グローバルマーケティング担当)を務めるサラ・ケネディ氏は、年次カンファレンス「Adobe Summit 2020」におけるB2Bマーケター向けミニキーノートの冒頭で、自身が顧客やチームに話して機会あるごとに話してきたという言葉を紹介した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でマーケティングプランの変更を余儀なくされた企業は少なくない。現にAdobe自身、年に一度の「Adobe Summit」を史上初の完全オンライン開催にシフトさせている。例年であればラスベガスの高級ホテルを会場に、世界中から大勢の人を集めて華やかなイベントとなるはずだった。直前でのオンデマンド配信への切り替えは苦渋の決断だったに違いない。そしてこのような急激な状況変化に伴う困難は、多かれ少なかれほとんどのマーケターが実感しているはずだ。

 「人は制約があるからこそ、現状維持という快適な場所から抜け出し、最高のアイデアや次の10年に向けてのベストプラクティスを生み出すチャンスを得られる。次の10年に向けてB2B体験を再発明する機会が与えられた」とケネディ氏は気丈に語った。

サラ・ケネディ氏

 2020年に直面した試練を乗り越えるためにAdobeが提案するB2Bマーケティング戦略の柱は以下の3つである。

  1. Marketing Ground Zero for Growth (ゼロからの成長エンジン)
  2. Account Based Experience(ABX)
  3. The Power of Human Connection(人間のつながりの力)

成長エンジンとしてのマーケティング

 1つ目の「成長のエンジン」という言葉の背景にはマーケティングの役割の変化がある。現代のマーケティングは営業でもありオペレーションでもあり、ファイナンスでもあることを求められる。マーケターは「CEO第一主義」で、ROI達成への高いコミットメントを持って仕事をしなくてはならないというのがケネディ氏の考えだ。

 次世代のマーケターにはデータアナリストやストーリーテラーの資質が重要になる。加えて、目標の達成に夢中になれる人材でなくてはならない。新型コロナウイルスの感染拡大が終息してグローバルの移動や支出が回復し始めたとき、需要を再燃させることができるのは、自身の目的を再定義しているマーケターだ。彼らはそのための戦術をまとめたプレイブックを書き換えることに成功した人たちである。基調講演で発表された「Adobe CXM Playbook」を念頭にケネディ氏は「Adobeはそのためのサポートをしたい。復興後にマーケティングチームが実践したこと、学んだことを共有してくれることを期待する」と語った。

 成長エンジンとしてのマーケティングを実践している一人がナンディ・ノーク氏(SAP Concur米国グロースマーケティング総責任者)である。ケネディ氏ととオンライントークセッションでノーク氏は「マーケターにとって、ビジネスが必要としている正しいスキルを持ち続けることが重要になってきていると思う」と述べた。

 ここでいうスキルとは具体的には「ビジネスの言葉で話す方法」だ。営業部門のみならず他の部門との連携の重要性が増している中、マーケティング部門の中だけでしか通用しない専門用語を使うのは避け、組織全体が共通用語で話すことを学ぶべきというのが真意だ。「ビジネスが必要としている方法を実践することで、マーケティングは進化し続けると思う」とノーク氏は語った。

ナンディ・ノーク氏
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