人々のライフスタイルが変わればアプリの在り方も変わります。世界でも日本でも、今までにない新たな価値提供が始まっているようです。
Airnow(旧社名appScatter)傘下のPrioridataのスマートフォンアプリ市場分析データを使い、世界のアプリの動向をさまざまな切り口から探ります(執筆者の所属するインターアローズはAirnowの日本総代理店です。また、このPrioridataは、Airnowdataに名称が変わる予定です)。
通常、MAU(月間アクティブユーザー)やDAU(日間アクティブユーザー)はアプリに実装された測定用SDKを使い、モバイルアプリユーザーを調査パネルとして推定値を出しますが、Prioridataは傘下のAirpushおよびデータパートナーとの提携により、デベロッパーおよびパブリッシャーデータとトラッキング対象デバイス35億のビッグデータを活用してMAUやDAUを算出しています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し終息が見えない中、私たちは新しいライフスタイルを模索している途上です。オンラインで過ごす時間が長くなり、モバイルアプリの利用頻度も上がっています。新しい生活様式をアプリが支援する場面はますます増えるでしょう。そこで今回は、米国と国内のiOSアプリ「ライフスタイル」カテゴリーの注目トレンドを紹介します。
米国ライフスタイル市場で最も高い人気のアプリは、T-mobileとSprintユーザーを対象にお得なクーポンや情報を提供する「T-Mobile Tuesday」です。在宅時間が増えている今、家電を制御する「Amazon Alexa」と「Smart Life」なども、高い人気となりました。
第5位に登場し、2020年6月7日の初公開からダンロード数が伸びているのは、Taksitciの「SMS & Flash Call - WWCall」です。このアプリのプレミアムオプションを週額850円で購入すると、電話番号から直接、国際ショートメールを無制限に利用できます。
海外では、送金やオンラインショッピング決済を携帯番号からSMSで利用する方法が一般的ですが、自国以外の電話番号へ送るショートメールは複数の通信事業者を経由するために、やや割高になりがちです。しかし、格安・定額の「SMS & Flash Call - WWCall」なら気軽に、電話番号から国際SMSが可能です。
また、多くのフラッシュスクリーンから選んで、お気に入り通話画面へのカスタマイズ機能も提供されています。
日本国内の同カテゴリーで注したいアプリは、2016年からクマガイ・シゲノリ氏が公開するメモ帳アプリ「Mytter(マイッター)」です。2020年7月12〜18日ダウンロード数の対前週増加率が驚異的な数字を記録しています。アプリストアにはさまざまなメモ帳アプリがあふれていますが、「Mytter」は「Twitter」そっくりな見た目でちょっと個性的なメモ帳となっています。
Mytterのアプリのユニークな点は、「Twitter」のタイムラインで交わされるようなさまざまな会話を、アイコンを使い分けながら自作自演で書いていくところにあります。一見、利点が分かりにくいのですが、Twitter同様、タイムラインにどんどんメモを気軽に連投でき、また、リプライのように追記をどんどん増やして無限に階層を掘り下げていくことができます。「一人会議」によってコメントを掘り下げていくと、まるでブレインストーミングのように次々とアイデアが広がっていきます。
ランク外ですが、「ライフスタイル」カテゴリーでは2020年6月30日に「無印良品」の良品計画が提供開始した「水-Muji Life」も要注目です。これは、無印良品店舗内や公共スペースに設置される給水機の場所をマップで明示するアプリです。無印良品はサステナブルな社会実現のため、「自分で詰める水」を自由に給水できるサービスを開始しました。ユーザーは繰り返し使える専用ペットボトルを購入し、アプリが示す最寄りの給水機ポイントから飲料水を補給することで、プラスチックごみを軽減できます。容量330mlで150円の専用ペットボトルは通常の市販水に使われるものよりも広い飲み口で洗いやすくなっています。オプションとして、粉末フレーバーティーなども販売しています。
2020年7月12〜18日の国内iOSライフスタイルランキングではまだ38位ですが、6月30日のアプリ公開以来、連日の安定したダウンロード数を記録しています。
PETボトルリサイクル推進協議会によると、日本における清涼飲料用ペットボトル出荷本数は2016年時点で227億本にも上ります。地球環境保全のために、少しでもペットボトル消費を減らすことを私たちは求められています。このアプリを利用すると、給水機ポイントだけではなく、節約給水量やペットボトル削減量、CO2削減量なども表示されるので、自分のエコ貢献度を知ることもできます。
今後、アプリを通じて持続可能な社会に貢献することが「新しい生活様式」として定着していくのかもしれません。
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