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» 2020年06月26日 08時00分 公開

withコロナ時代の「デジタルプレゼンス」を語ろう 第1回:トップこそがコンテンツであれ――ゲスト:電通アイソバー得丸英俊氏 (2/2)

[安部知雄,サイトコア]
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コミュニケーションのパーソナライズではプラットフォームが必要

松永 クリエイティブでモチベーションを作ることは電通アイソバーの強みですよね。クリエイティブとテクノロジーの両方でサポートできる。CXデザインが人のモチベーションに訴えるクリエイティブをフリクションレスに提供するものだとすると、そのために必要なのはどんなテクノロジーでしょうか。

得丸 一人一人にタイムリーに情報を提供するには、プラットフォームが必要です。昔、私はAmazon.comの黎明期に「パーソナライゼーションとは『サザエさん』の三河屋さん」と説明していました。いつもお買い上げいただいている商品がなくなりそうなタイミングで届けることが、マスレベルでは難しくてもデジタルなら実現可能です。しかも複数のチャネルを組み合わせながらできる。さまざまなチャネルで接点を持ったお客さまの体験全体を俯瞰しながら適切に情報を提供していくには、包括的なプラットフォームが必要です。それを使いこなせるか否かで、変化への対応スピードも変わってくると思います。

――先ほどからお客さまや社員とのコミュニケーションの話をしてきましたが、これから企業が出すべきメッセージではどんなことに注意すべきだと思いますか。

松永 シンプルに、言わなければいけないことを言うだけです。国のコロナ対応では良いところも悪いところも見えました。企業も同じで、長所と短所の両方を受け入れた上で、トップが自社のアイデンティティーを再定義して示すべきだと思います。社員に対して直接的なコミュニケーションを取ろうとする背景には、共に組織を作るためにはトップも謙虚にならないといけないという思いがあるからでしょう。お客さまとの関係も同じで、今は「永遠のβ版」という言葉にも現れているように、商品やサービスを一緒に作る姿勢が求められています。どうやってお互いに向かい合うことができるかを考えることが戦略です。その原点にあるのがアイデンティティー、つまり「個」です。

得丸 今の話から分かるのは、海外と日本という捉え方ではなく、世界全体をボーダーレスに見ることの重要性ですね。アメリカや欧州が進んでいるとは限りません。アジア各国から学べることもあります。そして、日本は何を提供できるかを考える時代が来ているとも感じます。また、先行きが不透明な分、判断の早さや機動力が重要になりますが、時には間違えることもあるでしょう。失敗を許容しながらも、前に進まなくてはなりません。いかに変化に早く適応できるか。企業のコミュニケーションもそうあるべきだと思います。

スピード感を持ってしなやかなコミュニケーションを

 対談中、トップ自らが情報発信を行う例で「トヨタイムズ」の例が紹介されましたが、実は得丸氏自身も2010年3月からブログ「TOKUBLO(とくぶろ)」(外部リンク)で情報発信を続けてきた方です。リモートワーク中は毎週月曜日の朝にオンラインでの全社ミーティングを実施しているとのこと。これまでリアルで行ってきた朝会の場をオンラインに移したそうですが、以前よりも参加者が増えているそうです。withコロナの時代には、「先が見えないから動かない」という姿勢ではいられません。スピード感を持ち、企業には組織が変わり、自分自身も変わるしなやかさをもって、発信するメッセージを考えてほしいと思います。

執筆者紹介

安部知雄
サイトコア執行役員 シニアマーケティングディレクター。国内大手鉄鋼メーカーで世界各国への機械販売に従事。世界市場におけるマーケティング力やコミュニケーション力の重要性を再認識し、マーケティングコミュニケーションエージェンシーへと転職。外資系企業の日本参入を多数支援し、クリックテック・ジャパン立ち上げにも携わる。2016年5月サイトコア入社。2019年9月より現職。


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