予測モデルの構築は普通、外部のコンサルティング会社に依頼して数億円程度を投資してプロジェクトで取り組むしかない。dataDiver TriAを月額15万円から、1stモデリングサービスが半年で500万円からと破格の値段で提供できる理由について西内氏は「多くのノウハウを自動化しているから」と説明する。
データサイエンティストの主な仕事は、データの収集から始まり、データ加工、アルゴリズムのチューニングなどであるが、全体の約6割をデータ加工に使うという調査結果がある。例えば、優良顧客のターゲットリストを作る場合、最初は販売管理ツールの中の顧客マスターと取引履歴を結合し、分析用に新しいテーブルを作らなければならない。次に、取引期間は何カ月か、累計取引金額はどのくらいかなど、この表からどのような項目が必要になるか考えなくてはならない。この分析の切り口の探索は一度で終わることはまずない。データサイエンティストは最適な分析の切り口を探すため、試行錯誤を繰り返し、多くの時間を費やすことになる。dataDiverではこの一連のプロセスを自動的に実行できるようにしている。
dataDiverを使うときは、4つのプルダウンメニューを使って解析目的を選ぶ。すると、数十秒程度でさまざまな観点からのデータ加工を行い、日本語で統計的に重要な結果を表示してくれる。裏側では生データを分析データに自動的に加工する処理が走っており、どんな要因が影響しているかを日本語で示す。ここまでは診断的分析に該当する。そしてさらにその先の説明可能な形で(ブラックボックスにしない)予測値を算出し、今後の運用のしやすさを考えて、予測の検証もできるようにしたのが今回発表したdataDiver TriAである。
例えば、一度優良顧客のターゲットリストを作ったら、次のキャンペーンでも同じやり方でターゲットリストを作ることがあり得る。そのときには新しいデータが追加されているし、データが更新されているので、データを差し替えた予測結果を使わなければならない。dataDiver TriAであればそれが簡単にできる。このリストをMA(マーケティングオートメーション)ツールに取り込めば、優良顧客だけを対象としたキャンペーンの展開ができるようになる。
dataDiver TriAはユーザーの要望が多かった予測的分析の機能を実装しており、予測モデルの開発から運用までを効率化できる。前述した例は、マーケティングでのユースケースであるが、データベースが動いているシステムのデータがあれば、正規化を行うことで他の業務にも応用できる。
不確実性の高い経済環境下では迅速な意思決定が求められる。苦境だから予算をカットするのではなく、大胆な投資をしなければならないとしたら、最適なリソースに資金を投下したい。データビークルは、ビジネスにおける意思決定にデータを使いたい人たちのニーズに応え、「ヒト、モノ、カネ」のリソースの割当をどうするかという意思決定を幅広くサポートする方針だ。
冨永裕子
とみなが・ゆうこ フリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタント。2つのIT調査会社でエンタープライズIT分野におけるソフトウェア分野の調査プロジェクトを担当する。その傍ら、ITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトも経験する。新興領域、テクノロジーとビジネスのギャップを埋めることに関心あり。
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