テレワークでも生産性を落とさない営業プロセスの在り方とは?SATORIとマツリカの実践例(1/2 ページ)

コロナショックでテレワークの導入が急速に進むが、営業プロセスにさまざまな制約ができるのは否めない。生産性を低下させないためにはどうすればいいのか。「withコロナを生き抜く営業組織構築」をテーマにしたウェビナーのハイライトを紹介する。

» 2020年06月04日 09時00分 公開
[三ツ井香菜ITmedia マーケティング]

 2020年4月7日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令され、多くの企業でテレワークの導入が加速した。一方で、これまでの対面を前提とした業務プロセスや組織体制の在り方に変化が求められ、適応に苦労している企業も多い。

 特にマーケティングやセールスなどの領域では「客先に訪問できない」「過去入手した電話番号にかけてもつながらない」「チーム内外の連携が取りにくい」などといった声も多く聞かれ、従来よりも生産性が落ちていることが懸念される。

 5月25日に全都道府県において緊急事態宣言が解除されたことでコロナショックはある程度収束の方向が見えてきた。とはいえ多様な働き方の一つとしてテレワークを選択する流れは大きく変わらないだろう。社員全員がテレワークをしていても生産性を落とさないためには、どのような営業プロセスの構築が必要なのか。

 本稿ではマーケティングオートメーション(MA)ツール「SATORI」を提供するSATORIとクラウドSFA(営業支援)ツール「Senses」を提供するマツリカ、B2B向けの発注業者比較サイト「アイミツ」を運営するユニラボが共催したウェビナー「withコロナを生き抜く営業組織構築」のエッセンスをお届けする。

テレワークによるマーケティング・営業コミュニケーション

 モデレーターを務めたユニラボの早坂文花氏によれば2020年4月の緊急事態宣言以降、会社機能の維持という面からテレワーク対応や実施予定だったイベントのオンライン化などの相談が増えているという。製品・サービスを売る側も買う側も出社を前提としない中でのマーケティング・営業コミュニケーションは、多くの企業にとって未知の、それでいて今もっともニーズの高いテーマの一つといえる。

 SATORIとマツリカはコロナ以前からテレワークを導入して実績を上げている。今回は

  • 組織体制の在り方
  • コロナ前後での組織体制やKPIなどの変化
  • マネジメントおよびコミュニケーションにおける工夫

の3つのトピックについて、SATORIの豊川瑠子氏(マーケティング営業部 マーケティンググループ グループ長)とマツリカの丸山隼平氏(revenue統括本部長)がこれまでの経験を踏まえて語った。

2020年5月19日、「withコロナを生き抜く営業組織構築」をテーマにしたウェビナーが開催された

テレワーク先進企業の組織体制

 SATORIのレベニュー組織は2015年の設立当時、マーケティング部門とセールス部門だけで、その中でカスタマーサクセスの役割も担っていたという。しかし、800社以上の顧客を抱える現在ではプロモーション、マーケティング、インサイドセールス、セールス、カスタマーサクセスの5部門に分かれている。

 以前は各部門がそれぞれの持つKPIを追うだけであった。つまり、KPIとKGIが同一の扱いになっていた。2020年からはそれを変え、プロモーション、マーケティング、インサイドセールス、セールスの4部門で「受注数」という共通のKGIを追いかけることになった。これにより「レベニュー組織としての本質を見失わずに動けている」と豊川氏は語る。

 共通のKGIの下、組織を横断して連携しやすいように、全体でやるべきことの優先順位を的確に判断するフレームワークも導入した。加えて、自社製品であるMAツールの「SATORI」を全部門で使用して、過去の蓄積データからターゲットイメージのすり合わせをしている。

 マツリカも今期に入って大きくレベニュー組織の体制を変更した。以前はSATORIと同様にインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスのそれぞれがKPIを持つだけだったが、やはり全体で一つのKGIを設定して、横串の組織連携を推進している。

 一方で、顧客の数が増加したことを受けて、顧客企業の規模別にセールスやカスタマーサクセスの中でチームを分割している。丸山氏は「チームを細分化すればするほど、縦や横のコミュニケーションの必要性が増える」と話し、連携のやり方も含めて組織体制を構築している途中であることを明かした。

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