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» 2020年05月15日 09時00分 公開

中国ビジネスのエキスパートが語る:「コロナ後」が動き出した中国 今後の消費動向と日本企業のビジネスチャンスは? (1/2)

新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かい、既に内需回復の兆しも見えてきた中国市場。越境ECや訪日インバウンドなど日本のビジネスに関わる領域で今後どのような動きがあるのか、識者が語った。

[大西花絵,ITmedia マーケティング]

 新型コロナウイルスの発生によって中国市場はどのような影響を受け変化したのか。ユーザベースは「Withコロナにおける中国消費の実態(リアル)」をテーマにオンラインセミナーを開催した。同イベントでは有識者が最新の統計情報から中国消費の実態を探るとともに、パネルディスカッションを通じて勝てる企業の強みについて提言した。本稿ではそのハイライトを紹介する。

中国国内は既に内需に回復の兆しあり

 第1部ではユーザベースの経済情報プラットフォーム「SPEEDA」でアナリスト(中国業界担当)を務める楊寧川氏が、中国の消費動向について最新の調査データを紹介しつつ解説した。ここで取り上げたのは1月以降における経済活動や個人財務の状況の他、中国政府による景気刺激策、消費動向の変化、ソーシャルコマースやインターネットビジネスへ与えた影響などである。

「SPEEDA」アナリストの楊寧川氏(左)

 楊氏は現在の中国経済について、既に回復期にあると述べた。ソーシャルコマースの台頭、ライブコマースの利用者急増といったトピックスからは、消費行動がデジタル中心にシフトする様子がうかがえる。移動が大幅に制限される中で在宅エンターテインメントやオンライン学習、リモート会議サービスなども急速に普及した。

 個人消費に関する今後の動向として楊氏は、これまで抑えられていた外食や旅行、エンターテインメント、化粧品などにおける「リベンジ消費」に注目しているという。

政府と民間IT企業の協力体制でデジタル化の流れが加速

 第2部の対談セッションにはトレンドExpress代表でソーシャル経済メディア「NewsPicks」プロピッカーでもある濱野智成氏と中国ビジネスに詳しいジャーナリストで千葉大学客員准教授、週刊ダイヤモンド特任アナリストの高口康太氏が登場ユーザベース中国事業責任者の安齋朱晃氏がモデレーターを務め、今後の中国ビジネスに必要な要素について語り合った。

左からトレンドExpress代表取締役社長の濱野智成氏とユーザベース中国事業責任者の安齋朱晃氏

 最初のテーマは「今後も世界経済において中国市場は重大なマーケットであり続けるのか」。中国における3月の社会消費品小売総額は前年度比15%程度マイナスだが、4月以降は活気を取り戻しつつある。濱野氏も高口氏も、地域や業種による差はあれど労働節(メーデー)や618商戦(EC大手の「京東商城:JD.com」を運営する京東集団が創立記念日である6月18日に実施する大規模セール)といった節目をへて景気はさらに回復すると見ている。

 中国の底力の強さは、ウイルス感染が拡大する中でなお加速したデジタルトランスフォーメーション(DX)がもたらしている。それを支えるのが政府とITプラットフォーマー企業の強固な協力体制だ。高口氏は象徴的なエピソードとして「人々の移動情報や感染情報を2月には紙に書いて管理していた。それが『Alipay(支付宝)』や『WeChat(微信)』がリリースした簡便なアプリでQRコードを読み取る方法に、あっという間に変わった。今では14億人の接触状況をデジタルで把握できるようになっている」(高口氏)

ジャーナリストで千葉大学客員准教授、週刊ダイヤモンド特任アナリストの高口康太氏 

 中国政府の景気支援施策、例えば個人向けのデジタル商品券配布においてもプラットフォームは活用される。どのプラットフォームが選ばれるかは地域ごとに異なる。そのため各社はシェア拡大に向けてしのぎを削っている。

 濱野氏が注目するのは、中国企業各社のマーケティング手法の変化だ。

 「ライブ配信の在り方やPR・広告の洗練など、企業のマーケティング活動に変化が見られる。また自粛下でも逆張り戦略で露出や営業活動を強化している企業が多いのもポイント。日本企業も学ぶべき点があるのではないかと感じる」(濱野氏)

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