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» 2019年12月20日 09時00分 公開

Twitterとのデータ連携も:日本気象協会が挑む気象データからの需要予測 データ同士がつながることで初めて生まれる価値がある (1/2)

データは単体で使うよりも、他のデータと掛け合わせることでより大きな付加価値を生む。気象データを通じた未来予測を企業のビジネスに生かすため、日本気象協会が試みていることとは。

[織茂洋介,ITmedia マーケティング]

 日本気象協会は、気象庁から提供されるデータを分析、加工して企業などに提供する民間団体だ。一般的には報道機関などに天気予報コンテンツを提供する組織というイメージが強いかもしれないが、エネルギー事業者や公共交通機関、さらには一般企業の商品需要予測コンサルティングなども事業として手掛けている。

 同協会の吉開朋弘氏(防災ソリューション事業部先進事業課シニアアナリスト)は、気象データの活用を推進する「eco×ロジ」プロジェクトの立ち上げメンバーだ。プロジェクトのミッションは、気象データを使った的確な需要予測を通じて「造る・運ぶ・売る」の無駄を排し、製造業や運輸業、小売業のビジネスを支援することにある。単なる「暑い/寒い」の予報でなく、「暑いから●●が売れる」「寒いから来店が何%増える」というように、予測対象をビジネス課題に変換しようというのだ。また、それを実現するために企業間連携を進めることも視野に入れている。

 「サプライチェーンの中で、製造業だけが気象情報を活用して行動しても、卸売業や小売業と連携が取れていなければ十分な成果は望めない。ただモノを作っても売り場の棚割が対応できていなくては意味がない」と吉開氏は語る。企業連携を進めてオペレーションを効率化することで、廃棄ロス削減など社会課題解決につながる。一方で、機会損失も減って売り上げ・利益の増加が期待できるわけだ。

日本気象協会の吉開朋弘氏

 

気象データ×ツイートで「体感」を定量化

 需要予測といっても、気象データ単体ではできることが限られる。今日の予想最高気温が30度と分かれば、「暑くなりそうだからアイスクリームやビールが売れるはず」という程度の予想は誰にでもできる。しかし、予想最高気温が30度だとして、それが5月なのか8月なのかでは、まるで感じ方が違うはずだ。気温データを売り上げ予測に使おうにも「暑いと感じる人」がどの程度いるのかは、30度という数字だけで見ていても分からない。

 この「暑い」という、極めて定性的な評価を定量化・可視化するため、日本気象協会が活用しているのがTwitterだ。Twitterが保有する全ツイートデータの中から「暑い」「寒い」という言葉が含まれる日本語ツイート(位置情報の付いたもの)を4年分1600万件収集。毎日どれくらい「暑い/寒い」とつぶやかれたかを集計して「体感」の正解データとした上で、最高気温や日射量など状態の暑さ、平年差や前日差など変化による暑さ、心理・慣れなどに着目して「暑い/寒い」ツイート量と相関する要素を見つけ、分析モデルを作り上げた。

「暑い」のツイート量と最高気温、日射量の推移を重ね合わせてみると……

 Twitterに着目した理由として吉開氏は「暑いと感じた人がそれをアウトプットする先として一番ハードルの低い形だから」と語る。

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