データドリブン組織を実現するための標準的な計画手順、推奨事項、ガイドラインをまとめた「Tableau Blueprint」について。
デジタル経済での競争に勝ち抜くため、ビジネスにおけるデータ活用の重要性は増すばかりだ。企業が継続的にビジネスインパクトを生み出すには、データドリブンなカルチャーを醸成し、組織を変えなければならない。
もちろん、組織全体のカルチャーを変えるというのは一朝一夕にできることではない。だが、スピード感がなければ先進企業との差は開く一方だ。迅速なキャッチアップに求められるのが、標準的な変革手順を体系化したガイドラインを参照することである。
Tableau Japanは2019年11月28日、データドリブン組織を実現するための標準的な計画手順、推奨事項、ガイドラインをまとめたフレームワーク「Tableau Blueprint」について記者向けの説明会を実施した。
Tableau Blueprintは2019年6月に公開され、既にセブン&アイ・ホールディングスがこれを活用してデータ人材の育成からデータドリブン組織へのシフトに挑戦している。説明会にはセブン&アイ・ホールディングス執行役員の清水 健氏も同席し、取り組みの進捗を語った。
説明会の冒頭、Tableau Japan社長の佐藤 豊氏は、米国本社であるTableau Software(以下、Tableau)が調査会社IDCと共同でアジア太平洋地域の700以上の組織を対象に実施したデータ対応・準備の状況に関する調査結果を紹介した。
TableauとIDCは同調査に当たって「人(組織)」「人(スキル)」「プロセス」「テクノロジー」「ガバナンス」の5つの項目について「データ対応力指標(DRI:Data Readiness Index)」を開発。そのスコアを基に成熟度を「遅滞レベル」「発展途上レベル」「先行レベル」の3段階で評価している。
調査結果を見ると、DRIスコアの高い先行レベルの企業は全体の20%で、発展途上レベルが66%と多数を占めることが分かっている。日本の平均DRIスコアは2.74。対象となった7カ国(オーストラリア、中国、香港、インド、日本、シンガポール、韓国)のうち、首位のオーストラリア(3.54)、2位のシンガポール(3.52)に次ぐ3位であるが、上位とのスコアの差は大きい。
上位2カ国の場合、先行レベルの組織が半数を超えているが、日本の組織で先行レベルは全体の8%にすぎない。遅滞レベルは10%で、残りの82%は発展途上レベルだ。もっとも日本の組織はこれまで多くの場合、5つのうち、ガバナンス、プロセス、テクノロジーへの投資を優先してきた。今後組織や人材の領域をケアすれば十分に伸びしろはある。
Tableauはデータドリブン組織への変革に挑戦する企業を支援するため、これまでに同社の製品を導入した数万社のベストプラクティスを体系化し、参照可能なガイドラインとして整備した。それがTableau Blueprintである。
Tableau Blueprintは「分析戦略」から始まる全部で11のステップで構成されている。特にビジネス環境の変化にデータ活用環境を適応させるための「アジャイル」、教育の実施で徐々に成熟度を高めるための「スキル」、組織全体にデータドリブンカルチャーを醸成するための「コミュニティー」の3つに焦点を当てている。
この3つのフォーカス領域いずれにおいても重要になるのが「信頼とガバナンス」だと佐藤氏は強調する。従来のデータガバナンスといえば、何かを禁止することが中心であったが、成熟度の高い企業では、信頼性が高くセキュアな環境にあるデータに現場が自由にアクセスできるガバナンスにシフトしている。IT部門とビジネス部門のコラボレーション、あるいは大企業とスタートアップの共創は、このようなデータ環境が整備されていてこそ可能になるというのがTableauの考えだ。
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