元AWS小島英揮氏が語るマーケティングの原点は「選ばれたい人から選ばれているか」チャレンジするマーケター(1/2 ページ)

B2Bマーケター注目のイベント「Bigbeat LIVE」が2019年8月2日に開催される。そこに登壇する気鋭のマーケターへのインタビューをお届けする。

» 2019年07月30日 07時00分 公開
[濱口 豊ビッグビート]

この連載について

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 ビッグビートの濱口 豊です。私は広告業界で30年、一貫してB2B企業(とりわけIT企業)のマーケティングを支援しています。外資系クライアントとのお付き合いの中、マーケティングの強力なパワーを間近で感じ、日本企業がこの機能をうまく使いこなせば日本の将来に大きなインパクトを与えることができるはずだと考えるようになりました。

 チャレンジするマーケターを応援し続けているビッグビートの根底にあるのは、「マーケティングが変われば経営が変わり、未来がよくなる」という思いです。

 この連載では、そんな「チャレンジするマーケター」たちのキャリアや考え方、生の姿を私とビッグビートのスタッフがご紹介し、マーケターの方々の悩みを解決するヒントや、楽しく仕事をするコツを感じて行動を変えるきっかけを見つけていただきます。


 パラレルマーケターを名乗り複数の会社のマーケティングをさまざまな立場で支援している小島英揮氏は、Amazon Web Services(以下、AWS)の第一号日本社員として「JAWS-UG(Japan AWS User Group)」を全国展開したコミュニティマーケティングの第一人者としても知られる。そんな小島氏はマーケティングをどのように捉え、実践してきたのか。ビッグビートの濱口 豊が詳しく話を聞いた。

小島英揮氏(左)と筆者(右)

Whoから始まるマーケティング

 小島氏は著書『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』(日本実業出版社)に、マーケティングに出合った大学生のときのことを記している。指導教授からは「マーケティングとは誰に、何を、どう売るか」であると教えられた。「Who」「What」「How」の順であり、Howは最後。まずはWhoとWhatが大事だと指導を受けたという。

 広告会社の代表を務める私にとって、マーケティングとは経営の最高の機能であり「選ばれる」ための道筋を立てるのがマーケターの仕事である、と考えている。パラレルマーケターとして、複数の会社から選ばれている小島氏は、どのようにしてその道筋を立てているのか。非常に気になるところだ。

 この疑問に対し、小島氏は「僕は全員に選ばれているわけではありません。大切なのは、選ばれたい人から選ばれているかどうか。誰に選ばれたいか分かっていない企業は、選ばれない。自分が誰に選ばれたいかを理解するところから始めなければいけません」と述べた。

 小島氏は2016年にAWSを退職してパラレルマーケターへと転身するに当たり、まず自身のSNSアカウントで、年内(9〜12月)は働かないこと、複数の会社で働きたい旨を発表した。そして、イベントに呼ばれた際などに各所で自身の関心の高い分野(AI、AR/VR、IoT、決済など)を公言し続けた。誰に選ばれたいか伝えることを自ら実践したのである。

 これらの行動を重ねていると、自然と幾つもの会社から「うちでやってほしい」と話が舞い込んできた。そして2017年1月に入り、「こういう理由で、これらの会社を支援することにしました」と、名刺が並んだ写真をSNSに上げた。

 「面白いことに、名刺をずらっと並んでいるのを見ると、『この人、本当にパラレルでやっているのか。こんなにあるなら、うちでもやってくれるのではないか』と思って、さらに声がかかるようになるんですよ。僕がやっていることは、自分のできることと行きたいところを可視化しているだけです」(小島氏)

選ばれたい人に見つけてもらうために

 現在、小島氏は50歳。小島氏ほどのキャリアであれば、そろそろ大手企業の役職者に落ち着こうと考えるのが一般的ではないだろうか。

 「だって年金が70歳まで出ないんですよ。あと20年もある。もし今僕が65歳で、あと5年逃げ切ればいいというのであれば、その選択肢も考えただろうけど、20年も第一線で戦い続けなければいけないことを考えると、エッジなところでやらないと勝てないですから」(小島氏)

 小島氏は、選ばれるために必要なポイントをもう1つ教えてくれた。それは「検索ワードを増やすこと」である。これまで一貫してマーケティング職に携わってきた小島氏だが、名前を知られるようになったのはAWSに入ってからだという。

 「AWSの前にいたアドビシステムズ(以下、アドビ)の頃から、僕のやっていること自体はさほど大きく変わりません。だけど世の中で僕の認知のされ方は、全然違う。それはなぜだと思いますか。アドビとAWSのマーケットの違いですよ。当時のアドビがビジネスをしていたのは、ある程度確立されつつもニッチなマーケットでしたけど、AWSのそれは当初全く認知されていなかった成長マーケット。つまり、成長マーケットで活躍すれば、自分の認知度を高めて、次の手を打ちやすくなるんです。僕の場合、『#コミュニティマーケティング』『#クラウド』『#AI』『#決済』というキーワードがあって、このキーワードを増やすことで、選んでもらいたい人が検索したときに、検索結果に引っ掛かりやすくなる。選ばれるためには、検索した先で見つけてもらうことが大切なんです」(小島氏)

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