大日本印刷の山口圭介氏が次世代のマーケターに伝えたい「生き方」と「働き方」チャレンジするマーケター(1/2 ページ)

B2Bマーケター注目のイベント「Bigbeat LIVE」が2019年8月2日に開催される。そこに登壇する気鋭のマーケターへのインタビューをお届けする。

» 2019年07月23日 19時00分 公開
[瀬川昌樹ビッグビート]

この連載について

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 ビッグビートの濱口 豊です。私は広告業界で30年、一貫してB2B企業(とりわけIT企業)のマーケティングを支援しています。外資系クライアントとのお付き合いの中、マーケティングの強力なパワーを間近で感じ、日本企業がこの機能をうまく使いこなせば日本の将来に大きなインパクトを与えることができるはずだと考えるようになりました。

 チャレンジするマーケターを応援し続けているビッグビートの根底にあるのは、「マーケティングが変われば経営が変わり、未来がよくなる」という思いです。

 この連載では、そんな「チャレンジするマーケター」たちのキャリアや考え方、生の姿を私とビッグビートのスタッフがご紹介し、マーケターの方々の悩みを解決するヒントや、楽しく仕事をするコツを感じて行動を変えるきっかけを見つけていただきます。


 今回は、大日本印刷 包装事業部 IP営業本部本部長の山口圭介氏の元へ伺った。山口氏の考えるマーケティングと人材育成、プロフェッショナルの定義について、ビッグビート アカウントディビジョン マーケティングセールスディレクターの瀬川昌樹が聞いた。

大日本印刷の山口圭介氏

自分の頭で考える人を増やしたい

 1986年に新卒で大日本印刷に入社した山口氏は、同社の基幹事業である包装事業部の営業として約30年の経験を有する。2015年から3年間マーケティング企画本部長の役職に就いた後、再び営業本部長として営業部に舞い戻った。

 営業・マーケティングの傍らで、重きを置いてきたのが人材育成だ。2011年からは有志で運営する「ヒトづくり部会」の部会長として、包装事業部で働く1200人を対象に手弁当で教育プログラムを実践している。

 山口氏は「サラリーマンといえども会社に長くいるだけで勝手に課長になれるわけじゃない」「キャリアとは働くことを通じて自らの志を実現する成長プロセスだから、自分の頭で考えろ」と言い続けてきた。ヒトづくり部会でも、自ら考え実践できる人を増やすことを目指している。

 ヒトづくり部会では新卒9年目までを“義務教育”と位置付け、キャリアデザインについて教えている。以前は各部署でバラバラに研修が行われていたが、これを束ねてカリキュラムを組み直した。

 山口氏は「大きな組織に入ると、流れに身を任せる人も出てくる。いわゆる“ゆでガエル”にさせないために、しんどいけれど成長できる場を作りたかった」と、活動の意図を語る。

組織力=ヒト×知恵×ネットワーク

 山口氏が部下に最も伝えたいと考えているのは「組織力=ヒト×知恵×ネットワーク」という方程式だ。一人一人の成長を促し(ヒト)、対話の場を作ってヒト同士を組み合わせてさまざまなアイデアを引き出し(知恵)、公私さまざまな場面で自律的かつ強固なネットワークを作る。この掛け合わせで組織は大きくなっていく。そこには「仕事をすることは会社にいることではない。本当のプロとは自ら変革し、必ず結果を出すヒトである」という山口氏の強い信念がある。

 「お客さまの想定を超えなければプロの仕事とはいえない。仕事はもらいに行くものではなく指名されるもの。最近よく価値の創造が大切だといわれるけれど、お客さまがお金を払ってでも欲しい価値を提供できなければ、プロ失格です」

 組織人として「お客さまをどうやって喜ばせるか」を考えるのは当たり前のことであり、ただ滅私奉公するだけでは仕事とはいえないというのだ。

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