ABEJA永淵恭子氏のモットーは「一石二鳥」、マーケティング施策の効果を最大化するためにチャレンジするマーケター(1/2 ページ)

B2Bマーケター注目のイベント「Bigbeat LIVE」が2019年8月2日に開催される。そこに登壇する気鋭のマーケターへのインタビューをお届けする。

» 2019年07月19日 19時00分 公開
[野北瑞貴ビッグビート]

この連載について

ロゴ

 ビッグビートの濱口 豊です。私は広告業界で30年、一貫してB2B企業(とりわけIT企業)のマーケティングを支援しています。外資系クライアントとのお付き合いの中、マーケティングの強力なパワーを間近で感じ、日本企業がこの機能をうまく使いこなせば日本の将来に大きなインパクトを与えることができるはずだと考えるようになりました。

 チャレンジするマーケターを応援し続けているビッグビートの根底にあるのは、「マーケティングが変われば経営が変わり、未来がよくなる」という思いです。

 この連載では、そんな「チャレンジするマーケター」たちのキャリアや考え方、生の姿を私とビッグビートのスタッフがご紹介し、マーケターの方々の悩みを解決するヒントや、楽しく仕事をするコツを感じて行動を変えるきっかけを見つけていただきます。


 今回は、AIスタートアップABEJAの永淵恭子氏の元へ伺った。

 永淵氏がABEJAに入社したのは2017年9月のこと。現在はABEJA Platformのマーケティング戦略を担当している。永淵氏は新卒で営業職としてクラウドインテグレーション企業に入社し、社会人6年目に差し掛かる時期にマーケティング専任となった。

 その後、マーケティングスキルをどのように身に付け、磨いていったのか。仕事をする上で大切にしている価値観は何か。ビッグビート マーケティングチーム ディレクターの野北瑞貴が聞いた。

 永淵恭子氏と筆者 永淵恭子氏(右)と筆者(左)

営業職からひょんなきっかけでマーケティング専任に

 ABEJA入社前は、AWS(Amazon Web Services)専業CIer(クラウドインテグレーター)の法人営業として活躍していた永淵恭子氏。AWSユーザーコミュニティーの間では「ぎょりさん」というニックネームで親しまれていた。明るくユーモアあふれるテンポの良い会話、高いコミュニケーション力で、性別や世代を超え、社内外のファンも多い。

 永淵氏は大学で情報科学を専攻し、プログラミングなど一通り勉強したものの、自分の適性などを考え、就職活動時は「IT業界の営業職」を希望。なるべく経営層とも距離が近く、みんなで立ち上げていく会社がいいと考え、Google検索で上位にヒットしたサーバーワークスに入社した。ちょうどサーバーワークスがAWSをベースとしたCIerに完全シフトした頃だった。

 人数が少なかったので、営業職でありながらイベント出展やWeb制作、販促など、企業によってはマーケティング担当者がやることもありそうなタスクをこなしていった。だが入社して5年目が過ぎたころ、会社の規模も大きくなり、営業とこの二足のわらじ状態がだんだんきつくなってきた。そこで社長に「専任のマーケターを採用するか、それとも自分をマーケティング専任にするか、どちらかにしてほしい」と直談判。こうして入社6年目で、マーケティング担当になったという。

 「最初はマーケティングの基本が分からなかったので、外部のマーケターの方に会いに行ってマーケティングを一から教えていただきました。今でもその経験は役立っています」(永淵氏)

1つのアイデアから仕組みを作っていくスキル

 永淵氏は社内で唯一のマーケティング担当だったこともあり、浮かんだアイデアは次々と実行していった。現在でもサーバーワークス社内で引き継がれている施策に、既存ユーザー限定の定期セミナーがある。このセミナーでアップデート情報をユーザーと共有することで、ユーザーとのコミュニケーションのきっかけになるというものだ。

 「当時、会社が主催するイベントやセミナーはなかったんです。それに、ユーザーさんに対して定期的にフォローアップする仕組みもなかったので『作っちゃえ』と。でも私、飽きっぽいのですぐに飽きちゃって、仕組みができてからは別部門にお任せするようにしちゃったんですよね(笑)」(永淵氏)

 とはいえ、マーケターのミッションは「仕組み」を作ること。その意味では、マーケターとして大きな成果を上げたことになる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.