映画『カメラを止めるな!』に出演した女優しゅはまはるみ氏、アーティスト和田永氏、キッズライン代表取締役の経沢香保子氏が語る「オーディエンス」の力。
Twitter Japanは2019年5月29日、広告主と広告代理店向けのイベント「#TwitterBrandSummit」を開催した。本稿では映画『カメラを止めるな!』に出演した女優しゅはまはるみ氏、アーティスト和田 永氏、キッズライン代表取締役の経沢香保子氏が登壇したパネルディスカッションを主に紹介しつつ、Twitterの「オーディエンス」がブランドにとってどのような価値をもたらすのかを考察する。
広告の世界においてメッセージの受け手はオーディエンス(audience)と呼ばれる。「聴衆」「観衆」という意味だ。Twitterの2018年10月時点における月間アクティブユーザー(MAU)数は世界全体で3億2600万。日本市場だけで見ても米国に次ぐ4500万強。これはオーディエンスの規模としてマスメディアに匹敵するともいえる。
しかし、Twitterのオーディエンスを数だけで評価するのは拙速だ。Twitterにおけるオーディエンスは、単なる情報の受け手ではない。彼らは受け取った情報について発言する。他のSNSが「Look at me(自分を見て)」を志向するのに対し、Twitterは「Look at this(これを見て)」と、見たもの聞いたものから会話を誘発する(関連記事:「Twitterは4500万人の消費行動実録、『生活者が自分でも覚えていない行動』を可視化する」)。
Twitter Japan代表取締役の笹本 裕氏は「Twitterは影響力を持った人たちが集まる公開されたプラットフォーム。オーディエンスがブランドの代弁者や推薦者になって拡散していく。そうした力がTwitterのオーディエンスにはある。オーディエンスを理解することが企業のマーケティングに寄与することにつながる」と語る。
Twitterは投稿欄に表示されるメッセージにあるように「What's Happening?(いまどうしてる?)」の世界だ。Twitterを使う人々はTwitterだけを使っているわけではない。FacebookやInstagramなど他のプラットフォームを利用している人も多いだろう。しかし、Twitterに向かうときは他のプラットフォームの利用時とは心構えが違う。
Twitterのオーディエンスに特徴的な利用態度、それが「ディスカバリーマインドセット」だ。彼らは現在リアルタイムで起こっていることについてTwitterで情報を収集する。2019年4月1日の新元号「令和」発表のライブ配信はさまざまな動画配信プラットフォームで行われたが、最も視聴者数が多かったのはTwitterだった。
Twitterのオーディエンスは起きていることをただ見聞きするだけではない。そこには必ず会話が生まれる。改元関連ツイートは1200万を超えた。このようなTwitterのオーディンスの特徴がブランドにもたらす価値について、Twitter Japan上級執行役員 兼 広告事業本部長の味澤将宏氏は以下の3つを挙げる。
オーディエンスは自分の興味のある情報を探しにTwitterを訪れる。そこにはもちろん、ブランドからの情報も含まれる。広告の受容度(邪魔だと思わない人の割合)を他のプラットフォームと比較してもTwitterの方がはるかに高いというデータがあるという。また、意見や感想を投稿したり情報をシェアしたりする割合も高く、他人の感想を検索するためにも使われている。
結果としてTwitterの広告(プロモツイート)に接触したオーディエンスは非接触の人と比較して購入意向で18%、ブランド好意度で12%高い(Nielsen Brand Effect Studies in Japan/Millward Brown Brand Effect Studies in Japan;2017.3 - 2018.3)。別の調査でテレビCMと比較した結果でも、認知拡大、購買検討、行動喚起の各段階においてTwitterは高い投資対効果を示しているそうだ。
話題化することによって認知が持続するTwitterは、ブランドが新しいメッセージを発信するのに向いている。一方で、定番商品のキャンペーンであっても、世の中で起きている大きなイベントにうまく接続することで、Twitterの強みを発揮することができる。
味澤氏は、サントリーが「ファーストビュー」および「プロモトレンド」を使って実施した「ザ・プレミアム・モルツ」のキャンペーン事例を紹介した。改元を迎えるお祝いにザ・プレミアム・モルツで乾杯し、新しい時代の幕開けを石原さとみさんが語るこの動画広告では、用意したハッシュタグ(#令和最初の乾杯)の関連ツイートが1万6000ツイートになった。同様のキャンペーンでは平均5000ツイート程度であるというから、3倍以上の会話量を記録したことになる。また、動画そのものも1分40秒の長尺でありながら460万回再生された。
味澤氏は「Twitterはブランドと、ブランドにとって価値ある話題化をしてくれるオーディエンスをつなぐプラットフォーム。オーディエンスとともに新しいキャンペーンをスタートしていただきたい」と締めくくった。
このプレゼンテーションを受けて「Twitter's "Audience"」と題した行われたパネルディスカッションが実施された。パネリストはキッズライン代表取締役の経沢香保子氏、映画『カメラを止めるな!』に出演した女優のしゅはまはるみ氏、アーティストの和田永氏だ。
3人は最近、それぞれにTwitterで大きな反響を呼んだムーブメントに当事者として関り、オーディエンスの力を実感している。具体的にはどんなことがあったのか。
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