LIFULLがAI導入の成果を報告、DMP施策でCVRが最大330%にAI×不動産の新しいデータ活用

LIFULLは、2017年10月に導入したAppierのAI搭載データサイエンスプラットフォーム「AIXON」によるマーケティング施策の成果について発表した。

» 2018年12月07日 15時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

 不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S(以下、HOME'S)」を運営するLIFULLは、グループデータ戦略部において2017年10月より、Home'sに広告を出稿する不動産会社のマーケティング支援にAIを活用している(関連記事「LIFULLのAI戦略、予測分析はマーケティングをどう変えるのか?」)。1年の時をへてどのような成果が表れたのか。同社は2018年11月28日に開催した記者発表会において、それを説明した。

予測モデルを基にCVRが高くなりそうなセグメントを生成

 LIFULLは2014年7月、旧社名であるネクストの時代に、不動産業界特化型プライベートDMP「NabiSTAR(ナビスター)」を提供開始している。これは、Cxenseが提供する「Cxense DMP」をベースに、HOME'Sが保有する膨大なオーディエンスデータと顧客である不動産会社のデータを統合し、各社のWebサイトの改善や広告配信(LIFULL HOME'S内への広告出稿およびLIFULL HOME'Sのデータを用いた外部DSPやアドネットワークへの広告出稿)の最適化を図るものだ。

 NabiSTARの引き合いが増える中、LIFULLでは案件ごとにデータを分析し、セグメントを切って配信を設計する作業に多くの時間が割かれることが課題になっていた。実際、一連の作業におおよそ7時間ほどの時間を費やしていたという。

 これを1つのPDCAサイクルとして見立てて単純計算すると、案件数×PDCAサイクルを回した数×7時間。それなりに精度の高い配信設計はできるようになっても、これではあまりにも効率が悪い。

 そこで導入したのが、Appier(エイピア)のAI搭載データサイエンスプラットフォーム「AIXON(アイソン)」だ。AIXONはオーディエンス分析に強みを持つ。ユーザーの属性データやHOME'Sサイト内での行動ログを、NabiSTARに入れる前に一度AIXONへインポートし、コンバージョンデータを教師データとして予測モデルを生成、これを基に配信を設計するフローに変えた。

 LIFULLでは約1年わたり膨大なデータの分析を繰り返して予測モデルを組み立ててきた。その結果、従来のHome'sのみのデータから作ったセグメントによる広告配信の成果を100とした場合、AIXONで作ったセグメントではPCサイトのコンバージョン率(CVR)が直近の半年平均で148%、スマートフォンサイトのCVRは114%になった。さらに、直近の1カ月の実績はPCで188%、スマートフォンで329%と、大きな成果を生み出している。

分析から課題抽出までの作業がほぼゼロに

 LIFULL Chief Data OfficerでHOME'S事業本部グループデータ戦略部部長の野口真史氏は、「AIを活用する目的は大きく分けてターゲティングの精度と労働生産性の向上の2つ。PDCAを高速で回すと同時にデータをしっかりとためていくことで、PDCA自体を人の力で回さなくても済むようにしたい」と語る。

Chief Data Officerの野口真史氏

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