中国と日本、それぞれどうなっている? 当事者が語るインフルエンサーマーケティング最新事情「China-Japan Internet Celebrity Summit2」レポート(1/2 ページ)

中国ではKOLと呼ばれるインフルエンサーが広告ビジネスにおいて中心的な役割を担い、アパレルや化粧品ブランドを独自で立ち上げるなどビジネスのスケールを拡大している。一方日本では……。

» 2018年09月28日 19時00分 公開
[ヤマウチカズヨITmedia マーケティング]

 2018年8月29日、アライドアーキテクツは中国IMS新媒体商業集団(以下、IMS)と共同で、マーケティングイベント「China-Japan Internet Celebrity Summit2〜インフルエンサー新時代への挑戦〜」を開催した。IMSは中国最大のSNS「微博(Weibo)」のグループ会社で、Weibo上のインフルエンサーを活用した広告配信サービス「WEIQ(ウェイキュー)」を独自に開発・運営している。アライドアーキテクツはWEIQの日本国内における独占販売権を有し、IMSと合弁会社Vstar Japanも設立している。

 今回のイベントは日中のインフルエンサーマーケティングに関わるプレーヤーが集い、両国の最先端事情を共有する場となった。本稿ではここで実施された「インフルエンサーがもたらす新時代のビジネス」と題するパネルディスカッションの内容を、ダイジェストでお届けする。

インフルエンサーが企業と消費者の「溝」を埋める

 中国におけるトップインフルエンサーは「KOL(Key Opinion Leader)」と呼ばれる。(関連記事:「中国のマーケティングトレンドを理解するキーワード「KOL」「MCN」とは?」)。

 パネルディスカッションのゲストは、中国でKOLとして活躍するメイクアップアーティストのミャオェ・ウーミャオ氏とKOLのマネジメントを手掛けるpapitube COOのフオニーファン氏、化粧品メーカーであるエテュセ代表取締役社長の東矢琢磨氏、PR会社ベクトル代表取締役CEOの西江肇司氏の4人をゲストに迎えて行われた。モデレーターはアライドアーキテクツ代表取締役社長の中村壮秀氏が務めた。

西江肇司氏 西江肇司氏

 パネルディスカッションではまず、日中におけるインフルエンサーの性質の違いについて、西江氏がこう切り出した。

 「中国のインフルエンサーは、個人で広告会社と契約をしたり、個人でアパレルブランドやコスメブランドを立ち上げたりと、既に一つのビジネスとして確固たる地位を築いています。一方、日本ではインフルエンサーが消費者により近い場所におり、自身もビジネスというより趣味や副業的なものという認識が強い」(西江氏)。

 現在、中国と日本ではインフルエンサーマーケティングの市場規模において約10倍の差があるといわれている。中国ではFacebookやTwitterなど世界で標準的に使われるSNSが規制により利用できないため、「微信(WeChat)」や「微博(Weibo)」といった独自のSNS文化が発達している。一国独自のSNSとはいえ、その規模は巨大だ。そして、そこにおいてKOLを中心とした一つの経済圏が出来上がっている。

東矢琢磨氏 東矢琢磨氏

 西江氏の発言を受けて、東矢氏は企業視点から、消費者へのアプローチにおけるインフルエンサーの意義について次のように語った。

 「日本では、趣味や副業として活動するインフルエンサーが一般的ですが、昨今では企業が若年層向けのブランドなどで認知度を上げるためにインフルエンサーを起用するという話もちらほら出てきています。インフルエンサーは、ユーザーの目線に合わせた商品価値を伝えることができる存在。企業が伝えきれない使用効果などは、インフルエンサーの方がずっとリアルにユーザーへ届けられます」(東矢氏)

 企業は、商品のパッケージデザインや価格など、外側からの情報を伝えることはできる。しかし、それはあくまで販売側のメッセージだ。一方、インフルエンサーなら使用感や使用前と使用後の変化などを、より具体性を持って消費者へ伝えることができる。また、多くのファンを持つインフルエンサーなら、口コミから商品の認知度を上げることも可能だ。販売側である企業と購入側である消費者の間にある「溝」を埋めることができる存在として、また、企業が担っていたマーケティング機能を代行する存在でもあるのだ。

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