新生ZOZOビジョンと新ロゴに込めた前澤友作社長の思いとは?なぜ今、PBを始めるのか

2018年10月に「ZOZO」に社名変更が予定されるスタートトゥデイ。これに先駆けて同名のプライベートブランド(PB)を提供する理由を前澤友作社長が記者発表会で語った。

» 2018年07月05日 16時00分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

 ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは2018年7月3日、創業20周年と社名変更に伴う「新生ZOZOビジョン発表会」を開催した。同社では話題の採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」による体形計測データを活用したプライベートブランド「ZOZO」を2018年1月31日に開始している。今回の発表会では、この商品ラインアップを拡充し、完全オーダーメイドの男性用ビジネススーツなどを発売すること、そして7月26日の同社株主総会において「株式会社ZOZO」への社名変更が承認されたことなどを、前澤友作社長自らが語った。

スタートトゥデイ前澤友作社長 スタートトゥデイ前澤友作社長

完全オーダーメイドのプライベートブランド「ZOZO」

 1998年5月に創業し、初年度売り上げは8000万円だったというスタートトゥデイだが、2018年3月期には商品取扱高2705億円(前年比27.6%増)、営業利益326億円(同24.3%増)に成長を遂げている。2018年6月に開催した定期株主総会では、この10月から社名を「株式会社ZOZO」に変更することも決まっている。

 1月に出荷が始まった採寸スーツ「ZOZOSUIT」は55万3179枚の配布が完了している(2018年7月3日現在)。これは全身タイツ上のスーツ全体に印刷されたマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで全身のサイズを瞬時かつ正確に計測できるもので、ファッション領域におけるIoT活用の先駆的な取り組みとして注目されている。

 同社ではZOZOSUITの出荷と同時に、計測したデータを活用して一人一人にフィットしたアイテムを完全オーダーメイド方式で製造し販売するプライベートブランド(PB)の「ZOZO」を発表し、Tシャツやデニムパンツを提供してきた。今回、ここに新たに男性用ビジネススーツとドレスシャツ、ネクタイを追加し、カジュアル向けのアイテムも拡充した。ビジネススーツの通常価格は3万9900円(税込、以下同)だが、当面はお試し価格2万1900円で提供する(ただし当面はドレスシャツとのセット販売で2万4800円)。

ビジネススーツ ビジネススーツは無地3色ヘリンボーン4色の全7色

 「スーツからベーシックアイテムまで、全てピッタリサイズで用意するのがわれわれの計画」と前澤社長が語るように、ZOZOのPB商品は肩傾斜や左右の骨格・筋肉の差まで、体形データを考慮して1つ1つパターンを引き、オンデマンドで製造する。例えば秋口に発売を予定しているニットの製造では島精機製作所の「ホールガーメント」と呼ばれる機械を使って無人で立体的な編み上げを実現し、縫い目のない製品の発売を計画している。自動裁断機や自動縫製機なども取り入れ、今までにない生産手法に挑んでいく方針だ。

人が服に合わせる時代から服が人に合わせる時代へ

 なぜこのタイミングでPBを始めるのか。新ブランドZOZOを始めたきっかけについて、前澤社長は「まずは自分が欲しいものを作りたいと思った。僕は背も低く足も短いので、自分に合う服を探すのに今まで苦労していた。ZOZOTOWNには約65万点の商品があるけれど、そこで探してもなかなか合う服が見つからなくて、悩んでいた」と、個人的な思いを告白した。

 同じ悩みを抱えている人は世界中を見渡せばきっといっぱいいる。既成のサイズを超えて、1人1人の体形に合わせた服を作るブランドがあってもいいのではないか。前澤社長がそう考えたのは7、8年前のことだという。長い年月をかけ、試行錯誤の末に生まれたのが、ZOZOSUITによるサイズ計測と、テクノロジーを駆使した生産システムによる完全オーダーメイドのPBだったというわけだ。

 「ファッションのコンプレックスはいつも痛感してきた。自分が認められていないような気がして、お店で裾上げをするのも恥ずかしくて、何となくお店から遠のいてしまう。だからネットで洋服を売ることを思い付いたのかもしれない」と前澤社長は語る。

 「S」「M」「L」という既成のサイズからY(Your Size)へ、人が服に合わせる時代から服が人に合わせる時代へ――世界中のあらゆる人々が多かれ少なかれ抱える共通の課題を解決するのが目的だ。IoTやEC、そして製造にかかわるあらゆるテクノロジーは、目的を実現するための手段にすぎない。

社員と ZOZOのビジネススーツを着たさまざまな体形の社員とともに

新ロゴに込めた思い

 新生ZOZOのロゴマークには「Be unique, Be equal.」というタグラインが添えられる。直訳すれば「個性的であれ、平等であれ」ということになる。ロゴにデザインされたさまざまな図形は、人の個性を表しているという。形も色も違うが面積は一緒。誰もが等しく個性的に生きられるようにという世界観だ。体形の違いだけではない。人は皆生まれながらに違う個性を持っている。肌の色、髪の色、目の色なども人それぞれだ。

 「『世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。』がわれわれの企業理念。ファッションは人が笑顔になれるきっかけになる。また、人と人をつなぎ合わせる大事な役割を担う。ZOZOTOWNではたくさんのブランドを用意し、PBでは今まで着られる洋服が少なかった人に選択肢を与え、少しでも人々がファッションを楽しむ機会を増やしたい」と前澤社長は語る。

ロゴ 新生ZOZOのロゴマーク

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