デジタルマーケティングの課題に対して解決策とヒントを教える書籍『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石』から一部を抜粋し、デジタルマーケティングの基礎をおさらいする本連載。今回は10の定石のうち1〜5について学びます。
デジタル社会が日々進展する中で、デジタルを活用したマーケティングはあらゆる企業の将来を左右する重要課題です。しかし、「何からはじめればいいのか」「上司にどうやって説明すればいいのか」「取り組み始めたけれど、本当に効果を上げているのだろうか」などなど、多くの担当者を悩ませているのも事実です。そこで本書では、当該領域のプロフェッショナルたちが、事例や図版を使いながらマーケティング課題にあった解決策とヒントをお教えします。
※本稿は電通デジタル『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石: 電通デジタルのトップマーケッターが教える 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ』(徳間書店)から一部の内容を抜粋・編集して転載しています。
デジタルマーケティングの全体像は、いきなり全部を構築するわけにはいきません。
デジタルマーケティングには、自社が置かれている局面にあっての最善手、定石があります。自社マーケティングにとっての重要度と緊急度に基づいて、どの手を打つかが特定されます。以下では、私たちが整理した10の定石について概観していきます(編注:今回は10の定石のうち1〜5について述べ、6〜10については次週掲載します)。
企業が、製品製造業視点からサービス提供業視点に転換するための定石です。多様な顧客接点を持つ企業や顧客接点の質に差がでやすいサービス企業では、デジタルマーケティングの有効な出発点です。
まず、消費者がニーズを感じ、その結果、ある製品やサービスに関心を持ち、購買に至り、継続購買したり、感想を投稿したりする過程をカスタマージャーニーとして把握し、その中における自社ブランドと消費者との接点を特定します。そして、消費者が各接点に満足しているかどうかや接点が自社の想定通りに機能しているかを把握し、重要な接点から改善していきます(※1)。
顧客接点には、デジタル接点とそうでないものが混在しています。自社Webサイトを訪問し価格シミュレーションをしたうえで、リアルの店で実製品を試す見込み客がいたとすれば、店頭で試用のために準備されている製品は、シミュレーションした製品であるべきです。このような接点と接点との関係をデジタル技術によって最適化することは、デジタルマーケティングの王道のアプローチです。
マーケティングコミュニケーションをキャンペーン中心から継続施策中心に転換するための定石です。
消費者と企業との数々の接点の中で、消費者が自分の都合に合わせていつでも接触できるのは、企業のWebサイト(ホームページ)です。コンタクトセンターには受付時間がありますし、リアルの店舗が常に近所にあるとは限りません。デジタル時代になって、企業ははじめていつでも消費者に対応できる窓口を手に入れました。この窓口の強化からデジタルマーケティングを始めるのは効果的な出発点です。
自社Webサイトを開設し、顧客が製品の使い方が分からないときや不具合を疑ったときに、企業が必要な情報を提供すると、時と場所を超えて顧客と関係を維持できるようになります。同時に、人的対応が必要なコンタクトセンターの負荷を低減できます。デジタル広告やSEM(検索エンジン最適化)を実施した際に、これらを通じて訪れた人の到着場所をオウンドメディア上の関連コンテンツに定めます。こうすると、消費者の知りたいことに的確に応えることができます。
さらに積極的に、企業が自社業務と関連する情報を集配するメディア(Webサイト)をネット上に持てば、消費者から効率的に情報を収集したり、提供したりするチャネルとして活用できます。調味料メーカーが消費者からのレシピの投稿を募って掲載するレシピサイトを持てば、そのサイトは、人気レシピの動向を知る消費者調査の役割を果たし、投稿レシピは新製品開発のヒントになり、掲載されているレシピは閲覧者に対する販促にも活用できます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.