デジタルマーケティングの課題に対して解決策とヒントを教える書籍『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石』から一部を抜粋し、デジタルマーケティングの基礎をおさらいする本連載。今回は、デジタルマーケティングの全体像をつかみましょう。
デジタル社会が日々進展する中で、デジタルを活用したマーケティングはあらゆる企業の将来を左右する重要課題です。しかし、「何からはじめればいいのか」「上司にどうやって説明すればいいのか」「取り組み始めたけれど、本当に効果を上げているのだろうか」などなど、多くの担当者を悩ませているのも事実です。そこで本書では、当該領域のプロフェッショナルたちが、事例や図版を使いながらマーケティング課題にあった解決策とヒントをお教えします。
※本稿は電通デジタル『デジタルマーケティング 成功に導く10の定石: 電通デジタルのトップマーケッターが教える 簡単に分かる売れ続ける仕組みをつくるツボ』(徳間書店)から一部の内容を抜粋・編集して転載しています。
今回は、デジタルマーケティングの全体像を見ていきます(図1参照)。マーケティングの装備や手法は、マーケティング課題や戦略によって異なります。従って、これから示す全体像はデジタルマーケティングの理念型と捉えていただくのがよいでしょう。
マーケティング活動とは消費者を理解し、消費者に働きかけて、売れ続ける仕組みを作ることです。従ってまず、消費者行動が最上位、最初の層となります。これ以下の層は、消費者から情報を取得したり、効果的な働きかけをしたりするために機能します。
消費者行動の変化を捉えるモデルはさまざまありますが、ここではデジタル時代の代表的なコミュニケーション効果モデル、「AISAS(アイサス)」を採用しています(※1)。
AISASはコミュニケーション効果の段階モデルの1つで、インターネットの登場によって顕著になった2つの段階、購買前の「検索」と購買後の「情報共有」を取りあげている点に特徴があります。それぞれの段階は、A:アテンション(注意)、I:インタレスト(関心)、S:サーチ(検索)、A:アクション(購買)、S:シェア(情報共有)を表しています。
消費者行動に働きかけるチャネル、企業やブランドと消費者との接点がコンタクトポイント層です。清涼飲料を例に考えると、テレビや雑誌の広告、ブランドのWebサイトやブランドのSNS公式アカウント、アプリ、消費者のブログやSNSへの書き込み、製品のパッケージ、自動販売機、コンビニエンスストアの店頭、空き缶や空き瓶などなど多くの接点があります。コンタクトポイント層での活動は、いくつかのマーケティングシステムによって管理されています。
前述した、費用を払って時間や場所を活用するペイドメディア(P)、自社所有のオウンドメディア(O)、評判形成に役立つアーンドメディア(E)に分類して簡略化して図示しています。
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