進化するインターネットマーケティングに求められる新たな効果測定指標とは何か。デジタルPRのエキスパートが最新トレンドとそれを現場に生かすための視点を紹介する。
2015年のインターネット広告費は、前年比110.2%の1兆1594億円に達しました(数字は電通「2015年 日本の広告費」より)。
インターネットを活用したマーケティングは、多くの企業でごく当たり前に行われるようになっています。その目的も、新規顧客獲得からリピート率向上、潜在顧客の発見と育成まで、幅が広がりつつあります、マーケティングの手法も多様化しており、とりわけここ数年、B2CからB2Bまで、さまざまなビジネスにおいてコンテンツマーケティングに関心が向けられるようになったのは、大きな変化の1つといえます。
このインターネット成熟期において、取得できるデータは膨大になりました。しかし、データの意味を正しく知り目的に応じて活用していくためには、まず何よりも正しい効果測定と、そのための指標の定義が重要になります。今回は、コンテンツマーケティングかいわいにおける効果測定指標をめぐる議論について、論点を整理してご紹介したいと思います。
オウンドメディアを保有し、自社の商品紹介にとどまらず、潜在顧客に対して生活や仕事に役立つ情報を発信するコンテンツマーケティングの動きが盛んになりつつあります。求人情報事業の枠を超え、転職希望者の口コミ情報サイトとして圧倒的な知名度を獲得するに至ったリブセンスの「転職会議」や、商品・ブランド情報のみを紹介する、いわゆるブランドサイトの枠を超えて「100種近いアレンジレシピ」「ロングセラー商品ならではのトリビア」を訴求して好意度を上げた大塚食品「ボンカレー」公式サイトのような例もあります。
こうした施策に注力する企業が、ただコンテンツを出しておしまいということは、もちろんありません。インターネットマーケティングの世界は、日進月歩で進化し続けていますから、ユーザーのメディア接触行動はかつてないほど細かく分析できるようになっています。
Webサイトにおける代表的な効果測定指標といえばPV(ページビュー)ですが、「PV至上主義」すなわち、Webサイトにおけるページの閲覧数を増やすことに重きを置いた考え方が正しいのかという議論もあります。
PV至上主義はしばしば、テレビにおける視聴率至上主義と並べて語られることがあります。見た人が何を感じたかより、ただ目を引くこと(Webサイトであればクリックを誘発すること)自体が目的となり、粗製乱造でコンテンツの質の低下を招くといったことが疑問視されているのです。
実際、今日のオウンドメディアの効果測定において、単に「何ページ読まれたか」で一喜一憂するということはほとんどありません。
オウンドメディアの目的が潜在顧客にアプローチすることである場合、実際の効果測定指標として主に用いるのは新規UU(ユニークユーザー)です。既存ユーザーではなく、新規ユーザーをどれだけ誘引したのかをKPIにするのは自然な流れでしょう。
しかし、PVにしてもUUにしても、インターネット広告の新規顧客(量)獲得の効果を測るための指標です。量的な効果測定指標には新規UUでいいとして、一方で、それだけだと実際にコストをかけたコンテンツが読まれたのか、読まれた後どこに遷移したのか、問い合わせや会員登録、購入につながったのかといった質的な効果は分かりません。良質なユーザーに対してブランド好意度を高め流入につなげたいとするニーズに対しては、「何人きたか」を示すUUのような量的効果指標だけでなく、質的効果を測る指標が必要です。そして、そうした質的効果を計測できるツールも開発され始めています。
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