「エンゲージメント」(後編)――語れば語るほど愛着が強化される「IKEA効果」のメカニズム【連載】行動経済学で理解する次世代マーケティングキーワード 第2回(1/2 ページ)

マーケティングを語る上で鍵になる概念を経済コラムニストの視点から理解するマーケター向け教養読みもの連載。前回に引き続き「エンゲージメント」について解き明かす。

» 2015年12月30日 07時00分 公開
[佐々木 一寿ITmedia マーケティング]

 前回「『エンゲージメント』(前編)――消費者がブランドの物語を共有する一員になるための心理的約束」では、エンゲージメント戦略の核になる要素は企業と顧客による「コンテクスト(文脈・物語)」の共有にあることを示してきた。それは単なる物欲(物的所有欲)でなく、また一方的なブランド信仰でもない。サッカーチームとサポーターの関係や結婚生活といった具体例で説明をしてきたように、双方からのはたらきかけを伴う濃密な関係だ。

 後編となる今回は、エンゲージメントが形成されるプロセスで何が起こっているのか、そのメカニズムを行動経済学に即して解説したいと思う。

「保有効果」が愛着を生む

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