アイ・ティ・アールが主催する「IT Trend 2014」が5月14日、東京・新宿区で開催された。同社のシニア・アナリスト 生熊清司氏によるセッション「マーケティングITとエンタープライズITの融合」の模様をお届けする。
人々の消費行動が大きく変化するのに伴い、広く普及するようになったデジタルマーケティング。デジタル化の波が急速に進む昨今、企業にとっては大きな転換期が訪れている。特に企業ITはコスト削減やプロセス効率化から、売り上げ増という直接的な貢献へと変化を遂げた。企業が抱える現状の課題を洗い出し、今後のデジタルマーケティングのあり方を導き出す。
近年、社会/産業のデジタル化や企業と顧客との関係におけるデジタル化、組織運営/働き方におけるデジタル化など、市場に対するデジタル化が進んでいる。
P.F.ドラッカーが「企業の目的は“顧客の創造”であり、企業の成果を上げさせるための基本的機能は“マーケティング”と“イノベーション”だけ」と語るように、顧客との関係におけるデジタル化=デジタルマーケティングは、いまや企業にとって必要不可欠なものだ。
本来マーケティングは、顧客の「買いたい」「欲しい」といった思いを満足させる役割を担い、既存のビジネスを最大化させるためにある。イノベーションはモノが売れない時代のいま、企業が新たな成長を遂げ、新規の市場へ出てゆくためにある。
では、この先、ITはマーケティングにどう関わっていくのだろうか。この30年ほどを振り返ると、ITに求められる役割は大きく変化を遂げた。初期の頃はコンピュータのパワーを活用し、高速でのデータ処理、システムの構築運用が期待されていた。
その後、テクノロジーが進化するのに伴い、ビジネスにおけるあらゆるプロセスにおいてITが活用されるようになった。ITRの調査「IT投資動向調査2013」「IT投資動向調査2014」によると、企業が掲げる最重要IT戦略の1位は2年を通して「売り上げ増大への直接的な貢献」から変わらず、前年に6位だった「顧客サービスの質的な向上」が3位に上昇している。
システム構築運用という従来の役割だけではなく、経営戦略面でも活用されるようになり、さらにはビジネスへの直接的な貢献を求められるようになったのだ。
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