小川 佐藤先生は、2009年に発表された論文で「BRAND WILL」という考え方を提唱されています。改めてどういった考え方なのかお伺いできますか?
佐藤 ブランドを考える際、USP(Unique Selling Proposition)を設定しますが、中長期的にはブランドの意思表明を続けることがUSPになると考えています。従来、USPというと機能的な差別化を思い浮かべる人が多いですが、昨今の技術発展スピードはあまりにも早くすぐに真似されてしまう。短期的に見れば、機能的な差別化は合理的ですが、中長期的な視点ではそうとはなりにくい。例えば、基礎化粧品のブランドであるDOVEはReal Beautyを掲げ、美に対する主張や姿勢を発信し続けています。BRAND WILLを持ち続け、パーソナリティがはっきりすることで、支持を集め、ファンが増えていくのです。NIKEやCoca-Cola、Appleなども同様でしょう。BRAND WILLを発信し続けることが、USPになっていくのです。
また、そうしたブランドが発信する意思や提案に、私たち生活者はブランドに投票しているとも考えることができます。飲み物であれば、150円分の投票、パソコンであれば15万円分の投票、といったように。以前、AppleはMac Book Air(MBA)を発売した際、MBAを封筒に入れるCMを流しました。その後、対抗したLenovoのThink PadはMBAのCMを真似したパロディを発表し、話題となりました。
第1回 目指すは企業、生活者、社会のTriple-Winモデル、共有価値創造の実現が競争優位を創造する
第2回 「社会の役に立ち、生活者から共感を引き出す、自社でしかできないこと」を考える
第3回 価値の変遷〜選ばれるための理由となりえる「価値」について考える
第4回 あの「体脂肪計タニタの社員食堂」が生まれたヒントは? 〜Value Reframing 自社の提供価値を再定義することから始めるストーリー〜
第5回 広告枠に依存しないコミュニケーションをビルディングする重要性について
【第2回】サンダーバードプロジェクトが成功したわけ
第5回 コミュニケーションデザイン――ユーザー視点でコミュニケーションのシナリオを考える
オウンドメディアでのエンゲージメント向上に関する調査、アイ・エム・ジェイ
iPadは自社メディアになるか――「情熱の系譜」と効果測定
トリプルメディアを駆使、「情熱の系譜」舞台裏Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.