Web解析=効果測定、というイメージがあるが、終わった施策の効果を後で調べ、改善の余地があれば改善するのは従来型の古いWeb解析。データの取得と解析を最後のアウトプットではなく、最初のインプットとして位置づけることのメリットについて紹介する。
Web解析=効果測定、というイメージがあります。マーケティング施策を企画/実施し、終わった後に効果を調べ、レポートにまとめる。さらによかった点、悪かった点を洗い出し、将来の改善につなげる。図にするとこんなイメージです。
いわゆる「PDCAサイクル」のように見えますが、このようなメンタルモデルにはいくつかの問題点があります
まず、このようなモデルでは改善が安定しません。「検証」と「改善」が実施よりも後のステップになっているので、予算や時間の都合で後回しになったり、省略されたりしがちです。検証と改善を忘れたとしても、担当の評価や給料が下がるような事態にはなりません。特に、成果がよかった場合は、分析で時間を無駄にしないで現状維持のまますぐに次の施策をスタートした方がよい、と判断されることもあります。
つまり、「検証なんてオマケ」「検証をスキップして次の施策をスタートしても問題ない」と考えられてしまい、タイムリーかつ確実に検証を実施する必然性が足りません。
たとえ検証が実施されたとしても、トラフィックや売り上げ、コンバージョン率などの結果をレポートにまとめただけで、「タイミングがよかった」「コンテンツがよかった」「ソーシャルで話題になった」などと因果関係があいまいな考察で終わることがあります。そうなると、改善案も「次はバレンタインで同じことをしよう」「コンテンツの予算を増やそう」「XX広告の予算を増やそう」「担当を変更しよう」「新ソリューションを導入しよう」などと突飛で不確実なものになってしまいます。
「改善」と「企画」の依存関係が弱いと、サイクルというよりも似たようなステップを繰り返すだけになってしまいます。
検証によって有益な知見が得られなかったとしても、実務経験を積むことでオペレーションの効率を改善し、コスト削減することはできるでしょう。ただし、それはマイナスを減らすだけであって、プラスを大きく増やすことにはつながりません。効率を地道に改善するだけでは世界の競合に勝てないようになってきました。
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