グーグルが公開したレポートでは、同社が提供するディスプレー広告のシェアでモバイル端末向け広告と動画連動広告の需要が急激に高まっていることを伝えている。
グーグルは8月8日、同社が提供している「サイト運営者向けサービス」の中から2011年のデータを集計、分析したレポート「サイト運営者のディスプレー広告ビジネスのトレンド」を無償で公開した。レポートのデータは、グーグルのサイト運営者向けサービスから取得したもので、サイト運営者の業界別、地域別の比較や人気の広告サイズ、モバイル広告/動画広告動向まで幅広く網羅している。
以下でレポートの内容を紹介する。
レポートでは、グーグルの検索連動型テキスト広告やディスプレー広告(Google AdSense、DoubleClick Ad Exchange)から収集した広告インプレッションデータの在庫量に関するデータを業界、世界の地域ごとに比較している。2011年、サイト運営者が所属する25の業界のうち15業界が同サービスの広告インプレッション数で前年比2桁の成長を果たしたという。特に前年比の成長率が高かったのはショッピングサイト(37%増)とスポーツ(25%増)だった。一方、オンラインコミュニティーサイトやビジネス/産業サイトは直接/間接(アドネットワークなど)の広告枠の比率が変化し、この1年でインプレッション数が減少した。
地域別で見た場合、ディスプレー広告配信にはどのような違いが見られるのだろうか。2011年にはグーグルがサービスを提供するディスプレー広告は世界235カ所の国/地域で利用されていた。全体のインプレッション数に占める割合は欧米が過半数を占めた。アメリカが24.7%とトップで、ヨーロッパ地域では26.5%(イギリス4.2%、ドイツ4.9%、フランス4.8%など)だ。一方、アジア太平洋地区でも中国10.5%や日本5.7%、インド2.5%などと一定のシェアを占めるようになったことを報告している。
人気のディスプレー広告サイズについては、レクタングル(300×250)、ビッグバナー(728×90)、スカイスクレイパー(160×600)が上位3位を占め、すべての広告インプレッションの80%近くを占める結果となった。また、標準以外の広告サイズでは300×600や300×50、300×100のサイズが十数%の成長をしている。また、320×50というモバイル端末向け広告サイズは120%もの成長を果たしている。
モバイル端末向けインターネット広告のインプレッションの伸びは、2011年第3四半期から第4四半期にかけて250%増加した。この成長は、東京やサンフランシスコといったITの環境が整った先進的な都市だけではなく新興国の都市でも同様に見られるという。新興国のユーザーは、PCではなくモバイル端末で初めてのインターネットアクセスを体験するケースが多い。モバイル、デスクトップ共に広告インプレッション数は増加しているが、モバイルWebの利用が増えたため、モバイル広告の成長率が上回ったとグーグルは分析している。
旅行業界を除く全ての業界で、2011年第4四半期のモバイルWebの広告インプレッションは前年比10%以上の成長率を記録している。モバイル広告の前年比成長率を業界別に見るとランキング1位はショッピングで69%の成長率、2位は食品/飲料で61%だった。
同レポートは動画連動広告も非常に成長していると報告している。2011年後半にグーグルが持つアドネットワーク広告である DFP(DoubleClick for Publishers)の動画広告サービスは全体で前年比70%近く成長したという。同サービスの実績から計測すると、動画広告の約51%は再生時間が15〜30秒で、36%は再生時間30秒以上、13%は再生時間15秒未満だった。また、動画広告に関して640×360のワイドスクリーンで発生したインプレッション数は前年比175%増加したが、標準アスペクト比(4対3)のインプレッション数は減少した。
グーグルはこのレポートを第1回として、引き続きディスプレー広告ビジネスのトレンドに関する資料を公開する予定だという。
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