数年前と比べて、ECサイトでは最終的なコンバージョンまでも視野に入れた総合的なサイト集客の効率化がより重視される傾向にあるという。
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現在、ECサイトで重視されている売り上げ拡大のための施策は、単にサイトへの集客のみにとどまらない。サイト内の施策に注力することでサイト集客の効率化が図られる傾向にある。
サイト集客の効率化は、「効率的な集客方法の採用」と「コストをかけて集客したユーザーの効率的な活用」の2つに分類される。前者は、インターネット広告などの集客方法ごとの効果測定を実施することで、効果的な集客方法を見つけ出し効率化を図る取り組みだ。一方、後者は、商品のレコメンドなどサイト内での施策に注力することで、CVR(コンバージョンレート)を向上させサイト集客にかかったコストを最大限に生かす取り組みである。
アクセス解析ツールの出現により、サイト集客の効率化は以前から多くの企業で実施されていたが、今回の調査では、サイト内での施策に注力し、最終的なコンバージョンまでも視野に入れた総合的なサイト集客の効率化が多くのECサイトで図られる傾向にあることが分かった。
下の図は、ECサイトの運営企業を対象に、サイトの売り上げ拡大のために最も重視している施策について、電話アンケート調査を実施、集計したものだ(図1、図2参照)。
設問では、売り上げ拡大のための施策を「サイトへの集客」「サイト内での施策」「既存顧客に対する施策」の3つに分類し、3年前と比較して現在はどれを重視しているかをヒアリングした。
現在最も重視されている施策は、「サイトへの集客」で、回答企業の37.0%を占めた。これに「サイト内での施策」(33.0%)、「既存顧客に対する施策」(29.9%)が続いた。一方、3年前は、サイトへの集客が最も多く70.2%、これに既存顧客に対する施策(17.0%)、サイト内での施策(12.8%)が続いた。
この結果から、ここ3年で多くのECサイト運営企業では、「とにかくサイトへユーザーを集客する戦略」から「訪問したユーザーにとにかく買ってもらう戦略」に戦略がシフトしていることがうかがわれる。
なぜシフトチェンジがなされたのか。その理由として、インターネット広告の費用対効果の低下がある。近年、競合サイトが増加したことを背景に、リスティング広告をはじめ需要の高いインターネット広告の広告単価が上昇しているという。
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