2016年12月にアイティメディアとイノーバが共催したセミナー「営業にムダ足を踏ませない、中小企業のためのB2Bマーケティング講座」の内容をダイジェストで紹介する。
アイティメディアは2016年12月15日、コンテンツマーケティングを中心に企業のマーケティング支援サービスを提供するイノーバと共同で「営業にムダ足を踏ませない、中小企業のためのB2Bマーケティング講座」と題したセミナーを実施した。
どの企業であれ、成果の出ないムダな営業活動はできる限り回避したいものだが、人的リソースが限られる中小企業にとっては、収益確保とコスト削減の両面から、案件の確度アップとそのためのリードの品質向上はより重要な課題といえる。集客とリードナーチャリングを担うマーケティング部門に課せられた役割はより重要だ。しかし、具体的には何をすればいいのか。
今回のセミナーでは「インバウンドとアウトバウンドの最適化」および「コンテンツマーケティング」をキーワードに、現場を知るエキスパートたちが商談の成功率を上げるための方法論を語った。
最初に登壇したのはアイティメディア 営業販促研究所の河本 晃だ。河本は営業としてのキャリアも長く、直近ではリードジェネレーションサービスの商品企画およびコンサルティングを担当してきた。多数の成功例、失敗例の分析を踏まえ、中長期的な視点でクライアントをサポートする役割を担っている。
講演のテーマは「『インバウンド+α』で商機を逃さない、攻める中小企業のためのB2Bマーケティング」だ。河本は冒頭、B2Bマーケティングにおける「我慢」の重要性を強調した。「自社サイトやセミナー、展示会などで獲得したリードは、それぞれ自社への興味の度合いや想定される課題が異なる。リードジェネレーションにおいては、いたずらに動いて営業にムダ足を踏ませてはいけない」というのがその真意だ。
まず重要なのは、今日におけるB2Bユーザーの情報収集行動の変化を知ることだ。例えばIT製品の購買においては、多くのユーザー企業はベンダーの営業担当者と面会する前に製品購入意思決定の大部分を終了していることが知られている。実際これは、多くの調査が示唆するところでもある。
土俵に上がる前に「不戦敗」を喫するのを避けるためには、ターゲットユーザーが情報源としているものを把握し、そこに自社の情報をきちんと提供していく必要がある。もちろん、自社のサイトや自社セミナーに誘導する「インバウンド」の施策だけで十分にリードが獲得できるならば、それに越したことはない。しかし、ユーザーの購買へ向けた行動を「課題の明確化」「解決方法の検討」「ベンダー/製品の選定」の3段階に分けて見たとき、前2段階においては、専門Webメディアなど、第三者的視点からの情報に触れることが多くなるのが普通だ。これはユーザーの立場に立って考えればごく自然なことだろう。
最初から都合よく自社を見つけてもらえると考えるのは現実的ではない。とりわけ中小企業は知名度で大企業に劣ることが多いので、条件は不利になる。そこで、「短期から中長期までカバーするリード供給体制を構築するためには、インバウンドだけでなく、展示会やメディアなどのリードジェンチャネルを組み合わせた『リードジェンミックス』が必要になる」というのだ。
しかし、リードの母数を増やすことも大切だが、より肝心なのはその先だ。営業にムダ足を踏ませないためには、インバウンドとアウトバウンドの両面から最適なマーケティング活動を設計する必要がある。河本はそれぞれの「攻めどころ」として、「SEOに強い専門メディアの活用」と「購買意思をつかむアウトバウンド施策」を挙げた。
中小企業が集客を自社のオウンドメディアだけに頼るのは難しい。しかし、SEOに強いメディアと連携することで、あらゆる段階で自社や自社製品を認知してもらえる機会が増大する。さらに、購買意思をつかむという点においても、入手したリード情報を、ユーザー属性と行動から分析可能なメディアであれば、商談化する可能性が低いリードを排除しつつ、企業単位でのアクティブ度に基づいたターゲティングメールを打つなど、ソリューション認知を測ることもできるというわけだ。
最終的に営業に渡せる状態までリードの質を高めるには、インサイドセールスを通じたヒアリングも重要になってくる。河本はインサイドセールス成功のポイントについて「決して無理にアポイントメントを取ろうとしないこと。1回の電話は短めに、複数回の電話を重ねることで、課題感を丁寧に把握することが大事」と語った。営業が訪問するに当っては、具体的な提案ができなくては意味がない。まずは具体的な課題を聞き出すこと。ムダ足をなくしたいのであれば、アポを取ることだけを目的にするのは本末転倒だというわけだ。
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