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» 2012年12月12日 11時00分 UPDATE

ソーシャルテレビ:ダブルスクリーン視聴はもうすぐそこに? Inter BEEでマル研デモを見た!?

まだまだ影響力の強いメディア「TV」は今後どう変わるのか。最新のテクノロジーを使った「マルチスクリーニング型放送」ではショッピング、ニュース、競馬などで新しいメディア体験が可能です。

[ソーシャルメディアマーケティングラボ]
ソーシャルメディアマーケティングラボ(Social Media Marketing Lab.)
smm1.jpg “iPad news and TV” by Nicholas jbriscoe

 2011年1月に“マルチスクリーン型放送研究会(マル研)”についてブログを書いた。(マルチスクリーン型放送とは)関西キー局を中心に推進している実験で、IPDC (IP Data Cast:放送波にIPを乗せ一斉同報のようなデータ配信を行うサービス)という仕組みを使っている。詳しくはこの研究会のサイトを見てもらうといいと思う。テレビ放送とスマートデバイスを連動してコンテンツを送り届ける仕組みだ。

smm2.jpg マルチスクリーン型放送の概念図

 放送とスマートデバイス上のコンテンツを連動させようとする際、画面が正確に同期できるか問題が出てくる。さらに、ネット上のトラフィックに支障がないかどうかも課題となる。テレビのようにマスの人数を相手にしている場合、ネット上のトラフィックがものすごい量になりトラブルが起こりかねないからだ。

 マルチスクリーン型放送では、電波を使ってテレビモニターに映しだす通常の番組と一緒に、スマートデバイス用のコンテンツも送ってしまう。だから、完全に同期できるし、トラフィックの問題もまったく起こらなくなるのだ。ただし、各家庭に特殊なルータが必要になるのだが。

 同研究会では、2012年6月のINTEROPでもちょっとしたデモを作成して展示していた。番組とスマートデバイス上の画面が同期し、面白くて見たことのないコンテンツ体験ができた。11月14日〜16日に開催されたINTER BEEでは、さらに本格的なデモが展示され、パワーアップしていた。これにはかなり驚いた。

 関西キー局に加えて東海や九州など地方局も参加し、各局が独自のデモ番組を制作していたのだ。INTEROPでは合同で1つのデモを展示する程度だったものが、十数種類のデモを体感でき、マルチスクリーン型放送の可能性がぐっとリアルに味わえた。いくつかをここで紹介しよう。

大雨を伝えるニュースのデモ

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 まずこれは大雨を伝えるニュースのデモ。手前のiPadを見ると、大雨の詳しい情報が配信されている。そして、この画面ではわかりにくいが、地域ごとに異なる情報を配信している。雨が強い地域にはその詳細を地域に合わせて送り届けているのだ。

テレビに出てきた商品を買い物するデモ

 次は、テレビ大阪の人気番組「やすとものどこいこ!?」をベースにしたデモ。東京で言えば「モヤさま(モヤモヤさまぁ〜ず)」に似ている街歩き番組なのだが、番組中で買い物をする(シーンがある)。

smm4.jpg 手前のiPadでは番組の中に出てきた商品が次々と並ぶ
smm5.jpg 拡大すると、こういう状態。

 気になる商品があったら、iPad上でタップする。そうすると、個別の商品 説明画面になり、 “おとりおき”しておけばあとで購入することもできる、という設定のデモだ。

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 いずれはテレビで買い物ができるようになる、とスマートTVの概念が出てくるずっと前から言われてきたが、地上波を前提にした具体的なデモを見たのは初めてかもしれない(CATVやIPTVではすでに可能だったりするが)。

 同様の仕組みはCMでも可能だ。例えばニッセンのCMではタレントが着ている服をECサイト同様、いきなり購入できる。

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 いままで認知拡大にしか利用できなかったテレビCMが、直接売場になるかもしれないというわけだ。ファッションショーを見ながらケータイで服を買うのが最近「アリ」になっているのなら、これも「アリ」だろう。

競馬のデモ

 最後は競馬だ。放送とは別のアングルの映像を映したり、オッズなどの多様な情報をiPadで見られたら便利じゃないか。

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 この研究会は2011年の12月に立ち上がったばかりで、まだ設立1年に満たないのにここまで具体的なデモを作成している。すごいスピードだ。正直言って、この手法は特殊なルータが必要になるので実際に普及させるハードルは高いと思っていたのだが、ここまで具体的なデモを見せられると「ひょっとするかも」という気持ちになってくる。そういう狙いでここまで頑張ったのだろう。

 テレビ放送の新しい価値付けが必要だと言われている中で、こういう“お金になりそう”なものを見せつけられると、人は(なんとか企画を実現させようと)動きたくなるというものだ。マル研の行く先が見逃せなくなってきた。ルータの機能はテレビに内蔵することも可能でそのような機器も展示されていた。数年後には、テレビはこうなっているのかもしれないなあ。

寄稿者プロフィール

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境治 メディア・ストラテジスト。1987年、東京大学を卒業し、広告代理店I&S(現ISBBDO)に入社してコピーライターとなる。92年、TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞を受賞。93年からフリーランスとなりテレビCMからポスターまで幅広く広告制作に携わる。06年、映像制作会社ロボットに経営企画室長として入社。11年7月からは株式会社ビデオプロモーションでコミュニケーションデザイン室長としてメディア開発に取り組む。


※この記事はソーシャルメディアマーケティングラボの「【ソーシャルテレビラボ】ダブルスクリーン視聴はもうすぐそこに?Inter BEEでマル研デモを見た!?」原稿を一部修正して転載しています。


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