万能だが特徴のはっきりしない「何でも屋」と化したInstagram。2025年の進化の方向性を予想する。
Instagramは今日、「何でも屋」と化した。つまり、ありとあらゆる機能を取り入れたが故に、逆にこれといった特徴がなくなってしまっているのだ。かつてのInstagramは写真共有アプリだった。それが動画を取り入れて「ストーリー」が登場し、今では「リール」が主なエンゲージメントドライバーとなっている。ソーシャルグラフを備えていることから、TikTokにFacebookが融合したような存在と言っていいが、そのどちらとも完全には一致していない。
以下は、そんなInstagramが2025年に重点的に取り組むと予測される分野である。
Metaは今、自社の生成AIツールの普及に躍起で、インフィードのプロンプトでランダムなシーンや描写を自分でカスタマイズして作成するようユーザーに促している。
だが、誰もそんなことは求めていない。
確かに多くの人がMetaのAI作成ツールを試し、珍しがって使ってはいる。しかし、それらはInstagramの本来の中心的な目的である個人共有にはそぐわない。
そのため、次の進化はおそらく、Instagram画像用のフィルターをAIで強化する方向に向かうだろう。これにより、完全に新しい画像を作成するのではなく、自分の実際の写真や動画を編集できるようにするということだ
Metaはすでに「Movie Gen」という、動画にAIエレメントを加えるツールを開発中だ。Instagramでは、画像や動画に対しよりインタラクティブで魅力的なフィルターやカスタマイズ可能な変更を施す機能が大きな注目を集めるだろう。
関係のない画像をランダムに生成するよりも、生成した画像を個人的な共有にリンクさせる方が、よりInstagramらしいAIの使い方のように思える。
MetaがARウェアラブルに注力する中で、Instagramもこれに対応した連携機能を追加すると見られる。
Ray-Ban MetaスマートグラスからのコンテンツをInstagramに投稿できる方法が増えるだろう。すでに可能になっている統合ライブ配信(外部リンク/英語)も、より注目され機能が充実するはずだ。
私はまた、Ray-Ban Metaスマートグラスで撮影したコンテンツ専用のセクションを追加しかり、そのようなコンテンツを簡単に検索したりできるようにすると予想する。
Instagramのビジュアル中心の特性は、ARグラスの機能をより広く紹介するのにぴったりだ。Instagramは、MetaのARグラスの普及に向けた基盤を築く役割を果たすだろう。
ARとVRに関しても、Instagramはユーザーが3Dオブジェクトをアプリ内で作成し、現実世界と連動するVR体験を提供する方向に進むだろう。
Snapは、2017年にARグラス「Spectacles」を発売した直後に、Snapchat内でインタラクティブな風景を生成するデジタルオーバーレイである「ワールドレンズ」機能を使ってこれを実現した。Instagramも同様の機能を統合し、最終的にはMetaのARグラスによって強化されるAR体験の創造に注力するようになるだろう。
これにより、インタラクティブな広告や、ユーザーをデジタルの世界に誘う没入型AR体験が提供されるようになる。
Metaの生成AIツールはここで役に立つ。より多くの人々がより簡単に3Dオブジェクトを構築・レンダリングできるようになり、この複雑なタイプのデジタルリエイティビティーを民主化し、ARやVR体験により多くの選択肢を促進するからだ。 これは、現行のソーシャルアプリから没入型の体験への移行を進めるための一つの方法だ。次の段階はまだ来ていないが、今後何が起こるのか、そしてなぜARとVRが重要になるのかをMetaがより多く示すことができれば、良い結果につながるだろう。
Threadsはまだ独自のセグメントを持つほどではないため、2025年もInstagramの一部として扱われるだろう。そして私は、Metaがある段階で "政治的 "コンテンツに対する規制を緩和すると予想している。
Metaはニュースや政治の話題から距離を置いている。ニュースがなくてもリールからのエンゲージメントが圧倒的に多いこと、政治的な投稿がFacebookのフィードを占拠することに対する批判の声が多くのユーザーから上がっていることが理由だ。
Metaがそのような決断をした理由は理解できるが、Threadsはリアルタイムで最新の話題やディスカッションを提供するため、制限があると成長が難しい側面もある。
このようなことから、私は2024年の米大統領選挙に関する議論が収束した段階で、政治関連投稿のリーチ制限が緩和される可能性があるだろうと推測している。多くの人が、選挙日にこのプラットフォームの欠陥を指摘した。最新の情報に追いつくのが難しく、このアプローチの欠点が浮き彫りになったのだ。
よりタイムリーな議論がリアルタイムで展開されることで、Threadsは全体としてより魅力的な体験となるだろう。もしThreadsが本気でXのライバルになりたいのであれば、この点に留意する必要があるだろう。
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