HingeでCMOを務めるジャッキー・ジャントス氏は、紙媒体を活用した2024年のマーケティングキャンペーンが同社の「消されるためにあるマッチングアプリ」をZ世代に訴求する上でどう役立っているかを語った。
マッチングアプリ「Hinge」は、短期的な出会いではなく、真剣交際のパートナーを求めるユーザーをターゲットにしている。そのキャッチフレーズは「消されるためにあるマッチングアプリ(dating app designed to be deleted)」。つまり、ユーザーがHingeを通じて真剣な交際相手を見つけることで、アプリは削除されることになるという意味だ。
HingeでCMO(最高マーケティング責任者)を務めるジャッキー・ハントス氏はパスワード管理ツールベンダーDashlane、音楽ストリーミング配信サービスを手掛けるSpotifyやThe Coca-Cola Companyに在籍し、2021年11月にHingeで現職に就任した。ハント氏はMarketing Diveとのインタビューで、今回のキャンペーンのきっかけや、Z世代に向けたマーケティングアプローチなどについて語った。
※本稿は「『消されるためにあるマッチングアプリ』が純愛小説を出版 どういう戦略?」の続きです。
以下のインタビューは、内容を明確かつ簡潔に伝えるため、編集を施している。
――Hingeのマーケティングにおいて「No Ordinary Love」はどのような位置付けか?
ハントス氏 Hingeのマーケティング戦略は、Hingeを使えば素晴らしい交際相手と出会うことができ、結果的にマッチングアプリを使う必要がなくなるというコンセプトに基づいている。これが「dating app designed to be deleted.」(消されるためにあるマッチングアプリ)というキャッチフレーズを使っている理由だ。社内でも、アプリのユーザーエクスペリエンス(UX)をデザインする上での指針となっている。私たちは常に、Hingeを使って真剣な交際に発展した、ユーザーのリアルな物語を大切にし、プロダクト開発やマーケティングに活用している。
――「No Ordinary Love」をZine(小冊子)として出版することにしたのはなぜか?
ハントス氏 カップルごとに出会い方は異なる。私たちは、人々が出会う思いがけない方法を示したくて、その誠実さを表現できる形式を選んだ。最近のロマンス小説の流行にも魅力を感じた。本を読まないと言われているはずの若者たちが注目する本を紹介するTikTokのハッシュタグ「#booktok」をフォローしていれば分かる。文学やロマンス小説をめぐる議論が活発になりつつある。長文で物語を語ることができるZineに興味を持ち、この媒体を使ってクリエイターとコラボレーションしたいと考えた。
――アプリマーケティングは、デジタルメディアやソーシャルメディアと親和性が高いとされる。 Zineを使ったコンテンツマーケティングの何が他の広告に勝るのか?
ハントス氏 Hingieではさまざまなタイプのクリエイティブワークに取り組み、さまざまな広告フォーマットを試してきた。デジタルではなく物理的な販促物を制作したこともある。クリエイターとユニークな取り組みを数多く行ってきたが、長文の物語を書ける作家とコラボレーションするのは今回が初めてだ。
Zineの発行はおもしろい手法だ。マーケティング活動のマンネリ化を避けることにもつながる。Hingeを使えばたくさんの出会いを得られることを、Z世代や、もっと若い世代にも示してブランドを確立することができた。さまざまなマーケティング手法を使って、この世代にリーチして、エンゲージを高め、役立つ存在であり続けようと革新を続けている。
――ユーザーにアプリの削除を促すのは広告手法として一風変わっている。この手法が成功したと判断するための尺度は?
ハントス氏 私たちは常にユーザーの好奇心を刺激し、デートしてもらいたいと思っている。Hengeの使用感や会話から始まるデートでもいい。出会いにつながるさまざまな方法を展開したい。今回のキャンペーンはそのためにある。
ストーリーの中で気に入っているのは、ジャン・ポール・ブラマーが描く、ジョンとモーラというカップルの物語だ。彼らはHingeで知り合ったがデートまでは至らず、その1年後にHingeで再会したという。私たちは、Hingeを介したさまざまな出会いを祝福し、誠実でありたい。この気持ちでHingeを展開している。
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