第1四半期の広告価格とインプレッション数は堅調に伸びたが、マーク・ザッカーバーグCEOはより長期的なテクノロジーへの投資に注力した。
Meta Platforms(以下、Meta)の第1四半期の売上高は、前年同期比27%増の364億6000万ドルに達した。強力な広告ファンダメンタルズにより結果は予想を上回ったが、その内訳には投資家を不安にさせる側面もあった。
Facebook、Instagram、WhatsAppを含むMetaのアプリエコシステム全体で配信された広告インプレッション数は、前年比で20%増加した。平均広告単価は前年同期比6%増となり、前四半期から反転したが、これは広告主の需要が堅調であることを示している。
経営陣は決算説明会で多くの時間を費やして、生成AIとメタバースという2つの高額な投資分野への取り組みについて概説した。Metaは第2四半期の売上高を、ウォール街の予想を下回る365億ドルから390億ドルの範囲になると予想している。
Metaの決算発表(外部リンク/英語)によると、同社の収益の大部分を占める広告事業は、2024年も素晴らしいスタートを切った。健全な広告需要は広告価格の上昇につながり、全体のインプレッションも急上昇した。収益は27%上昇した。
「Shein」や「Temu」のような中国企業が米国の消費者への働きかけを強化したことで、Metaは思いがけない大金を得ることになった。MetaのCFO(最高財務責任者)を務めるスーザン・リー氏は、アジア太平洋地域は第1四半期にMetaの広告関連で最も急成長しており、前年同期比41%増であったと述べた。
TikTokの競合である「リール」は引き続き好調で、現在では利用者がInstagramに費やす時間の50%を占めている。TikTokの禁止や売却の可能性が迫っている中で、短尺動画ポータルは今後より多くの広告予算を集める可能性があるが、Metaの首脳陣はその影響を判断するのは時期尚早だと述べている。X(旧Twitter)の対抗サービスである「Threads」も、月間アクティブユーザー数1億5000万人と有望だ。
とはいえ、第1四半期の決算説明会では、メタバースのような赤字プロジェクトを含む、Metaの将来に向けた賭けに話題が集中した。この議論の焦点と期待外れの第2四半期見通しが一部の投資家に不快感を与えたため、Metaの株価は水曜日に急落した。
マーク・ザッカーバーグCEOは、すでに議論を巻き起こしているAIアシスタント「Meta AI」や、コネクテッドサングラス「Ray-Ban Meta」、クリエイティブAI、「Llama 3」と呼ばれる大型言語モデルなど、MetaがAIを活用するいくつかの方法について説明した。AIはまた広告自動化ツールセット「Advantage+」製品群や広告ランキングシステム「Meta Lattice」などを通じて、Metaの広告インフラをますます支えている。
これらの機能はブランドからの強い支持を受けているようだ。しかし、AIの分野で競争力を維持するためには多額の投資が必要であり、市場をリードする製品を実現するには数年かかる可能性があるとザッカーバーグ氏は警告する。この発言は、メタバースの構築という同氏の先行きの見通しを反映したものだ。
「現実的には、既存のリソースの多くをAIに集中させたとしても、これらの新製品から大きな収益を上げるまでに、当社の投資枠は大幅に拡大することになるだろう」とザッカーバーグCEOは投資家向け説明会で語った。
同氏は、ビジネスメッセージの拡大、AIに関連した有料広告やコンテンツの実装、より大きなモデルへのアクセスに対する課金など、AIには強力な収益化の可能性があると指摘した。これは、一貫して資金を浪費してきた野心的な取り組みであるメタバースにまつわるものよりも、現時点では説得力のあるロードマップだ。
Metaで仮想現実ツールの開発を担当する部門であるReality Labsは、VRヘッドセット「Meta Quest」の販売で売上高が30%増加したものの、営業損失は38億ドルに達した。AIの登場により、コンセプトとしてのメタバースへの熱狂は、消費者と投資家を興奮させるトピックであり続けているAIの影響を受けて、しぼんでしまった。
Forresterのバイスプレジデント兼リサーチ・ディレクターのマイク・プルクス氏は、メールで次のようにコメントを寄せた。「Metaが強い財務状況を維持しながらAI競争に参入できるかどうかという疑問は残る。そのためには、より多くのメタバース関連リソースがReality LabsからMetaのAIイニシアチブに転用されることが期待される」
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