PR会社Edelmanが実施した「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果について紹介します。
PR会社Edelmanの日本法人であるエデルマン・ジャパンは、「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果をまとめた「2024 エデルマン・トラストバロメーター(2024 Edelman Trust Barometer)」を発表しました。
調査は日本を含む世界28カ国3万2000人以上(各国1150人前後)を対象に実施。社会を支える4つの組織(政府、企業、メディア、NGO/NPO)への信頼度の平均値である「トラスト・インデックス」は、総合で56(前年比1ポイント増)でした。
信頼度を国別に見ると中国(76)、インド(74)、UAE(73)などが高く、最低は英国、日本、アルゼンチン(39)の3カ国でした。総じて発展途上国の方が先進国より信頼度が高い傾向にあります。変化の大きさを見ると、信頼度が最も高まったのは前年最下位だった韓国で7ポイント増。逆に信頼度が最も低下したのは英国(4ポイント減)でした。
4つの組織のうち最も信頼度が高いのは前年に続き「企業」(日本:48%、世界:59%)でした。以下「NGO/NPO」(日本:34%、世界:58%)、「政府」(日本:33%、世界:50%)が続き、最下位は「メディア」(日本28%、世界48%)でした。
24年目となる今回の調査テーマは「危機に瀕するイノベーション」。「AI」「クリーンエネルギー」「遺伝子ベース医療」「遺伝子組み換え食品」などの社会におけるイノベーションが人々から必ずしも信頼・受容されているとは言い難い現状が明らかになりました。
「イノベーションがうまく管理されていると思うか」という質問に対して「はい」と回答した人の割合はグローバル全体でわずか22%。国別でも28カ国中、日本を含む24カ国において、イノベーションがうまく管理されていないと考える傾向が明らかになりました。
イノベーションを社会に統合する存在として信頼度が高いのはやはり企業で、中国とサウジアラビアを除く26カ国平均で59%が企業を信頼すると回答しています。信頼度が低いのはメディア(48%)でした。また、ここでの信頼度は所得別でかなりギャップがあることが分かりました。日本では、いずれの組織もイノベーションを社会に統合する存在として信頼されておらず、所得別でも信頼度が低い結果になりました。
4つのイノベーションについて、グローバルでは「受け入れる」が「拒否する」を上回ったのはグリーンエネルギーのみで、遺伝子組み換え食品は拒否する人が58%に上り、特に抵抗が強いことが分かりました。日本では、AIを受容する声が拒否する声をわずかに上回っています。
レポートのまとめには、イノベーションが信頼されるための4つのポイントとして「社会実装の重要性」「企業と政府のパートナーシップ」「科学と社会の統合(科学者分かりやすく伝える努力)」「一人一人が未来をコントロールできると感じられること」が挙げられています。エデルマン・ジャパン代表取締役社長のメイゲン・バーストウ氏は「社会の成長に必要なイノベーションが信頼を揺るがすリスク要因にもなることが明らかになる中、企業が担うべき役割は拡大しています。企業がイノベーションを社会に役立てるよう、ビジネスリーダーが発信すると同時に、科学者や身近な仲間と歩調を合わせることが重要です」とコメントしています。
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