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» 2023年12月03日 11時00分 公開

マクドナルドのTikTok売れ、バービーの世界戦略 2023年の米国ベストキャンペーン【前編】Marketing Dive

2023年、米国のトップブランドはさまざまな課題に直面する中で、ポップカルチャーとの連携という戦略を選択した。代表的な事例を紹介する。

Marketing Dive

 2023年は、予想より景気が良かったにもかかわらず、多くの課題がマーケターにとって足かせとなった。突破口を開くことができた数少ないブランドは、クリエイティブな破壊力より、試行錯誤を重ねた戦術に依存することとなった。

 2023年の雰囲気は、安全で怠惰で退屈だと評されたスーパーボウルの広告シーズンによって早々に決まった。広告主たちはその後ずっとその基調から抜け出すことができなかったようだ。彼らは派手なキャンペーンで消費者を驚かせるよりも、進化する消費者とのつながりを取り戻そうと模索したため、注目すべき取り組みのほとんどはリブランド、リフレッシュ、リポジショニングのカテゴリーに分類される。

 メディアの面では、リテールメディアやコネクテッドTVへの支出が急増したが、それに伴いアドフラウドやプラットフォームごとの指標の断片化などの新たな課題が生じた。Amazon.comは検索の質を低下させるジャンク広告を意図的に増やしたとFTC(米連邦取引委員会)に問題視された。また、前年にキラキラと輝いていたメタバースに代わって生成AIが話題を独占したが、ブランドは1つの注目すべき例外を除いて、このテクノロジーを有意義な方法で広告に組み込むことができなかった。

 その代わりに、成功したマーケティング担当者は、ノスタルジーやポップカルチャーをテーマにしたキャンペーンにさらに積極的に取り組み、苦悩している消費者に喜びをもたらした。これを念頭に置いて、Marketing Diveは 2023年の傑出した広告クリエイティブをまとめた。従来通りのやり方でありながらも岐路に立たされたマーケティングにおいて変化をもたらしたキャンペーンについて、3回に分けて紹介する。


McDonald’s:「グリマスシェイク」がTikTokで30億回再生

 幼少期のノスタルジーにちなんだマーケティングで話題を提供することに慣れているMcDonald’sは、ブランドマスコット「グリマス」の誕生日を中心とした夏のプロモーションで金メダル(もしくは紫メダルか)を獲得した。同社は店内のプレイランドでの誕生パーティーの広告にもグリマスを採用した他、8bitのビデオゲーム、グッズ、SnapchatのAR(拡張現実)体験など、マルチチャネルキャンペーンを展開した。

2023年6月に展開された「グリマスの誕生日」キャンペーン(出典:McDonald's USAのプレスリリース)

 このキャンペーンで最も話題を呼んだのが、限定版の紫色のマックシェイクだ。TikTokでは30億以上の再生回数を記録し、売り上げの増加に貢献した。驚くべき口コミでTikTokに集まった若い消費者たちは、ベリー味のシェイクを飲んで副作用で倒れたり恐怖体験をするといったシュールなショート動画をこぞって共有した。

 McDonald’sで米国のマーケティング、ブランド、コンテンツ、カルチャー担当バイスプレジデントを務めるJJヒーラン氏は、「カルチャーの中に公式が参加するということは、共創によってファンがブランドを自分のものにできるということだ」とメールでのコメントで述べた。「そして時には、彼らの会話が予期せぬ方向に進むこともある。しかし私たちは、彼らが私たちと一緒にお祝いしたいのであれば、どのような形であれ、ここにいる。グリマスの誕生日はファンのおかげで、これまでで最も社会的に魅力的なキャンペーンの一つとなった」

 グリマスの誕生日キャンペーンは、ノスタルジーとカルチャーの交差点で消費者と出会うというMcDonald’sの取り組みの継続と銘打たれたものであり、同社はこのテーマに回帰し続けている。McDonald’sは2023年11月、サンダルのブランドであるCrocs(このブランドもノスタルジーへのこだわりから利益を得ている)と提携し、、バーディー、ハンバーグラー、そしてもちろんグリマスにインスパイアされた限定版の靴、靴下、アクセサリーを発売した。

Mattel:映画大ヒットでバービー人形の売り上げ急増

 MattelとWarner Bros. Entertainmentの映画『バービー』は世界的なセンセーションを巻き起こし、興行収入は13億6000万ドルに達した。映画公開後の玩具の売り上げも25%増加した。このような数字は、子どもたちとの親和性は保ちつつも購入する親たちとの社会的通用性を失いつつあった10年前に比べ、状況が好転したことを意味する。Mattelのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高ブランド責任者であるリサ・マクナイト氏は「Advertising Weeek」のパネルディスカッションで次のように説明した。

「認知度は向上する一方だ。娘を持つ親も、幼い子どもも、(バービーを)ロールモデルとして、このブランドをインクルーシブで、力を与え、祝福的なカルチャーにつながるものとして見ている。パーパスドリブンに行動したいと考えていますが、同時に喜びや楽しさ、そしてちょっとしたエンターテイメントももたらしたい。それこそが求められているものだからだ」(マクナイト氏)

 2023年はさまざまなブランドがこの活動に参加しようとしていたため、バービーが至るところで見かけられた。出会い系アプリの「Bumble」はバービーのキャラクターとマッチングするチャンスを消費者に提供し、バービー人形の自撮りジェネレーターは1300 万人のユーザーを獲得した。バービーが市場に大きく浸透したことは、ブランドにとってもパートナーのマーケターにとっても勝利だった。

 「この映画には、文字通り世界中に、165以上のパートナーがいた。エンゲージメントのレベル、つまり私たちと遊びたいと思っていた人たちの数は驚くべきものだった」(マクナイト氏)

2023年の米国ベストキャンペーン


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