ITRが毎年実施している「IT投資動向調査」の最新版の結果から、前年に続きIT投資に旺盛な傾向が継続していることが分かりました。
独立系ITコンサルティング・調査会社のアイ・ティ・アール(以下、ITR)は、2023年8月から9月にかけて国内企業を対象に実施したIT投資動向調査の一部結果を発表しました。全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2024』として販売されています。
2023年度のIT予算が「増額」したと回答した企業の割合は44%で、2022年度の回答(41%)を上回り、2年続けて最高値を更新しました。また、2023年度は「減額」した企業が2ポイント減の5%となりました。2024年度のIT予算額も「増額」を見込む企業が44%で、増額基調が続く見込みです。特に、売上高が500億円以上の企業では、過半数が2023年度と2024年度のいずれにおいても「増額」としています。
企業におけるDX推進に向けた具体的な施策の進展状況を確認すべく、DXに関する16項目のテーマへの取り組み状況を聞きました。「ワークスタイルの変革」と「業務の自動化」は進行中・実施済みの企業がいずれも4割を超え、「データ分析を基にしたマーケティングの遂行」が39%で続きました。マーケティングの他、「製品・サービスの付加価値向上」や「他社との共創、エコシステムの構築」といったテーマでも進行中・実施済みの企業、さらには成果が出ている企業が増え、ビジネス領域でのDXテーマに取り組む企業が増えてきたことが分かります。
調査では、企業ITに関わる代表的な製品・サービス全107項目の中で、2024年度に新規で導入される可能性の高いものについて分析しています。それによると、前年調査で2位だった「AI/機械学習プラットフォーム」が1位に上昇。2位には今回、新規に調査項目に加えた「生成AI」がランクインし、AI関連の製品・サービスが上位2項目を占めました。企業ITに関わる代表的な製品・サービスをすでに導入済みの企業における投資額の増減傾向についても分析したところ、前年調査で2位だった「5G(パブリック)」が1位に浮上し、新規導入フェーズから投資拡大フェーズに移りつつあることが分かりました。また、新規導入の可能性が最も高かった「AI/機械学習プラットフォーム」と2位だった「生成AI」は、投資増減指数でも5位以内に入りました。また、音声認識や画像認識が投資増減指数でトップテンに入るなど、生成AIへの注目とあいまって、2024年度はAI関連分野の製品・サービスへの投資がますます加速しそうです。
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