インテージは「SRI+(全国小売店パネル調査)」を基に、食品・日用雑貨など主な消費財を対象として店頭販売価格の値上げについて調査しました。
インテージは、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6000店舗より収集している小売店販売データ「SRI+(全国小売店パネル調査)」を基に、食品・日用雑貨など主な消費財を対象として店頭販売価格の値上げについて調査しました。
スーパーマーケットにおける直近1年間の食品の平均価格を2020年と比較したのが以下の表です。値上げが特に顕著な食用油は、キャノーラ油、サラダ油いずれも高止まりとなっています。2023年6月時点でキャノーラ油は大幅値上げが起きる前の2020年の約1.85倍です。他の調味料でも値上げ幅が以前より拡大するものもあり、マヨネーズは2020年と比べて約1.5倍、チーズや砂糖、醤油、ケチャップ、ソースなども1.2倍を超えてきました。魚肉ソーセージやサバ缶などの魚を使った加工食品や100%ジュースも値上げ幅が大きく拡大しています。
値上げに対する生活者の動きには変化も見られます。2022年6月と同12月を比べると、特売品やクーポン、タイムセールを利用など、食費節約の工夫をする人の割合が軒並み増えていました。ところが2023年6月のデータを見ると、半年前から横ばいか、数字を落としている項目もありました。プライベートブランドの購入やまとめ買いなど、伸びている項目もありますが、「外食の利用回数を減らす」が減少するなど、生活者に節約疲れが起きている可能性があります。それでもポイントカード利用は41%、クーポン利用は35%、特売品購入は32%を占めており、依然として節約行動を続けている人は少なくないようです。
食品を買う場所にも変化が目立ってきました。定番であるスーパーマーケットに迫るのがドラッグストア。2019年の月平均と比べ、両業態ともコロナ禍の巣ごもり需要などもあり100%を超える月が多く見られますが、値上げが本格化してきた2022年以降は食品の販売金額でもドラッグストアの伸び率がスーパーマーケットを大きく上回っていることが見て取れます。2023年6月はスーパーマーケットが104%の伸び率であるのに対し、ドラッグストアは132%となっています。
値上げトレンドは継続もしくはさらにエスカレートする気配さえあるようですが、買う側の努力で対策するには限界もあります。値上げを上回る収入増が当たり前になれば、節約疲れなどする必要もないわけですが……。
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