Withコロナの生活もすっかり定着してきた感がありますが、コロナ禍前後で消費者の行動や心理はどう変化したのでしょうか。
野村総合研究所(NRI)のグループ会社ブライアリー・アンド・パートナーズ・ジャパンは2022年3月、日本全国の1万人を対象に「コロナ禍前後の消費者行動・心理の変化に関する調査〜Withコロナ時代の消費スタイルの考察〜」を実施しました。
同調査は商品・サービスを日用品、耐久消費財・趣味品、高級品の3つに分類し、新型コロナとの共生が一般化する中で、消費者の消費行動・心理がコロナ禍以前と比較してどのように変化したか、購買検討姿勢、ペインポイント、選定時の重視点、情報収集源の4つの視点で明らかにしています。
購買行動についてコロナ前と現在を比較した結果、日用品、耐久消費財・趣味嗜好品、高級品のいずれにおいても、「複数のものを比較し、じっくり検討して購入する」と回答した人が増加していることが分かりました。とりわけ高級品においてその傾向が強くなっています。一方、「あまり検討せずに、購入経験のあるものを購入する」割合は、日用品で3.7ポイント、耐久消費財・趣味嗜好品で3.2ポイント、高級品で6.4ポイント減少。どの商品・サービスにおいてもリピート購入が減少していることが明らかになりました。
購入・検討時の情報収集源について聞くと、現在でも店舗の陳列商品や表示情報を重視する割合が半数以上にも達し、マス広告やメルマガ、ネットのユーザーレビューなどを抑えて最も高い結果となりました。一方で、YouTubeなどの動画やSNSを活用したライブ配信(ライブコマース)など、新たな情報源を参考する割合はまださほど多くなく、特にライブコマースを「あまり参考にしていない」「参考にしていない」と回答した人は日用品と耐久消費財・趣味嗜好品で6割以上、高級品でも5割以上でした。
情報を仕入れる上で実店舗の重要性があらためて浮き彫りになりましたが、一方で購入時のチャネルとしてECの利用が拡大しています。EC利用時の商品・サービス選定上の重視点としては、価格(クーポンなどを含む)や品質、使い慣れていること、商品の見つけやすさなど、基本的な価値を重視する意向がより高まっていることが分かりました。
EC利用時のペインポイントとしては「個人情報の悪用」「配送時間の長さ」「情報が多過ぎることによる混乱」に対する不安・不満が相対的に強くなっています。
ECと実店舗、それぞれの価値を理解しながら消費者は上手にチャネルの使い分けています。売る側としてはそうした顧客を理解し、オンラインとオフラインの垣根を越えてシームレスな体験を提供できるようにする必要があるのはいうまでもありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.