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» 2021年03月02日 12時00分 公開

ヤフーとLINEの経営統合でコマース・広告はどう変わるのか新生Zホールディングスの戦略(1/2 ページ)

新生Zホールディングスの戦略についてコマースと広告に関わるポイントをまとめました。

[織茂洋介,ITmedia マーケティング]

 2021年3月1日、ヤフーを傘下に持つZホールディングス(以下、ZHD)とLINEの経営統合が完了した。これにより、ZHDグループは国内で200超のサービスを提供し、国内総利用者数3億超となる国内最大規模のインターネットサービス企業グループとなった。Co-CEO(共同最高経営責任者)として経営トップに立つのはヤフー出身の川邊健太郎氏とLINE出身の出澤剛氏。ヤフーとLINEの中核事業であった「検索・ポータル」「広告」「メッセンジャー」を「根幹領域」と定め引き続き推進する他、「コマース」「ローカル・バーティカル」「FinTech」「社会」の4つを「集中領域」と定めて特に注力する方針だ。

 これらのサービスを成功させる上でキーテクノロジーとなるのがAIだ。ZHDグループは今後5年で5000億円の投資とAI人材5000人の増員を打ち出している。根幹領域と集中領域それぞれの取り組みにより、3年後の2023年度においては売り上げ収益2兆円、営業利益は過去最高益となる2250億円を目指す。

Zホールディングス代表取締役社長Co-CEOの川邊健太郎氏(左)と代表取締役Co-CEO出澤剛氏(右)(画像提供:Zホールディングス、以下同)

ヤフーとLINEが統合したからこそ実現可能な買い物体験

 今回の統合でZHDグループは「情報」「決済」「コミュニケーション」という日常生活に欠かせない3つの起点を持つことになった。川邊氏は「今後われわれはヤフーやLINE単独では実現できなかった新たな価値の創出に取り組む」と意気込む。

 集中領域に定めた4つの分野においては、今日の社会で特に大きくかつインターネットの力で解決が見込める課題が存在すると見ている。中でもポテンシャルが高いとみられるのはコマースだ。Eコマースあるいはオンラインショッピングと呼ばれるサービスはもともとヤフーとLINEそれぞれで提供してきたが、今回の経営統合により、豊富な品ぞろえやお得さ、欲しいときに届くといった利便性に加え、新たな取り組みに着手する。

 出澤氏は特に強化するポイントとして「ソーシャルコマース」と「X(クロス)ショッピング」を挙げた。

ソーシャルコマース

 コミュニケーションとコマースを掛け合わせたソーシャルコマースの具体例としては、以下の3つを想定している

  • ソーシャルギフト:LINEはこれまでもコミュニケーションアプリ「LINE」上で通知される友だちの誕生日などをきっかけに、LINEを通じて友だちにギフトを贈ることができる「LINEギフト」を展開していた。ここにおいて将来的に「Yahoo!ショッピング」などと連携し、多くの商品から贈り物ができるようにする。
  • 共同購入:気に入った商品が見つかったらLINE上で友人に購入を呼びかけて皆で代金を出し合って一人一人が安く購入することができるようなサービスを提供する
  • ライブコマース:。インフルエンサーによる商品紹介の動画を見ながら、同じく動画を見ている人と交流し、従来のEコマースとは異なる買い物体験ができるようにする。
ソーシャルコマース

Xショッピング

 Xショッピングとは、オンラインと実店舗の商品データを連携させることで、買う側の都合に合った最適な購入手段を選べる買い物体験を指す。例えば炊飯器を購入する際、届け日が翌日以降でよければオンラインモールで最安値を探して配送してもらい、その日の夕食の準備に必要であれば事前決済の上で自宅や勤務先の最寄りの量販店で商品を受け取ってもらうといった提案ができるようにする。

 また、中長期的にはオンラインに加え実店舗においても、ダイナミックプライシングでお得に購入できる「My Price構想」を検討する。さらに、LINE、ヤフー、PayPayがそれぞれユーザー向けに提供しているロイヤルティープログラムの統合も検討する。

Xショッピング

事業者向けのECソリューションも提供

 この他、旧LINE(※注)の親会社であるNAVERの知見を生かした「Smart Store Project」を進める。2021年上半期にはその第1弾として企業の自社ECサイトの構築・運営から分析、接客、送客などを備えたECソリューション提供開始する予定だ。

 中長期的には実店舗、自社ECサイト、「Yahoo!ショッピング」などのモール型EC、集客用の各種SNSサイトやLINE公式アカウントなどを1つの画面の上で一括して管理・運営ができる仕組みも構築するという。

 コロナ禍を機にECを始めるなど顧客接点を拡大させた企業は少なくない。だが、それらは数が増えるほど管理コストもかかる。リソースに乏しい中小のビジネスにとっては負担も大きい。出澤氏は「こうしたソリューションをPayPayやLINE Payを導入してくださっている町の小さなお店にも積極的に案内していきたい」と述べた。

事業者向けのECソリューションも提供予定

※経営統合に当たり旧LINEはAホールディングス(AHD)に商号を変更し、ZHDの株式の65.3%を取得して筆頭株主となっている。AHDの株式はソフトバンクとNAVERが50%ずつ保有。ZHDはヤフーおよびLINE(旧商号はLINE分割準備)の株式を100%保有する。LINEは旧LINEの全事業を承継。

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