コロナ禍で起きた消費行動の変化とはどのようなものか。変化に対応するために企業が取るべき行動とは何か。奥谷孝司氏(オイシックス・ラ・大地/顧客時間)と佐々木丈也氏(三井住友カード)が語った。
三井住友カードは2020年の5月と6月の2回にわたり「コロナ影響下の消費行動レポート」を発表している。調査・分析を支援したのが、オイシックス・ラ・大地執行役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)の奥谷孝司氏が共同代表を務める顧客時間だ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が経済に及ぼした影響は、人々の消費に関する価値観や行動を劇的に変化させている。2020年7月27日に開催された「Salesforce Live for Marketing」では、「“個客”に寄り添うデータドリブン戦略の未来 〜 消費行動変化で問われる顧客エンゲージメント力 〜」と題したセッションに、奥谷氏と三井住友カード執行役員マーケティング本部長の佐々木丈也氏が登壇。前出のレポートから得られた重要な発見を紹介しつつ、コロナ後にデータドリブンな「個客」対応をいかに実践するかについて語り合った。モデレーターはセールスフォース・ドットコム専務執行役員の笹俊文氏が務めた。
レポートに用いたのは、三井住友カードが提供する「Custella(カステラ)」だ。Custellaは、企業のマーケティング支援のために三井住友カードが持つ決済データを個人が特定できないように加工し、顧客属性データおよび購買実績データを分析するサービスを提供するものである。これを使うことで、新規顧客とリピーターの属性の相違、平日と休日の買い物行動の相違、インバウンド旅行者の消費行動の傾向などが見えてくる。
1回目のレポートでは2020年1月から3月までのデータを2019年同期間のものと比較した。まず、消費者の利用店舗を51業種に分類し、月毎に決済件数と決済金額を比較したところ、2020年3月は決済件数で39業種、決済金額では42業種の前年同期比を下回っていた。3月に件数、金額共にプラスとなった業種は「ホームセンター」「スーパー」「ペット関連」「ECモール・通販」「通信サービス」「美容品」「書籍・ビデオ・CD・楽器」だ。在宅時間増に伴う「巣ごもり消費」の傾向がうかがえる。
ここまでは予想の範囲内だが、奥谷氏が重要な変化として指摘したのが「高齢者のデジタルシフト」である。COVID-19は高齢者が罹患した場合の重症化のリスクが高いとされるが、日常的に「ECモール・通販」を利用している20〜30代と比べ、3月から男女共に高年齢層の増加が目立つ結果となった。
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