Salesforceが発表した年次調査レポート「マーケティング最新事情」(第6版)日本語版のハイライトを紹介します。
セールスフォース・ドットコムは、世界6大陸29カ国のマーケティングリーダー約7000人を対象に実施した調査結果をまとめた調査レポート「マーケティング最新事情」(第6版)の日本語版を公開しました。
Salesforceのチーフ・サイエンティストで世界的に有名なデータサイエンス研究者であるリチャード・ソーチャー氏が率いるSalesforce Researchによって今回の調査が行われたのは2020年1月8日から2月11日までの期間。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機が世界規模に拡大したのはこの直後ですが、Salesforceマーケティング部門最高責任者のステファニー・ブシェミ氏は、同レポートで言及する内容が「マーケターと企業が危機からの復旧を目指す際に引き続き重要になる」と延べています。
レポートが明らかにした傾向は以下の3点のポイントにまとめられています。
本稿ではSalesforce日本法人であるセールスフォース・ドットコムの笹俊文氏(専務執行役員 ジェネラルマネージャ プロダクトセールス担当)の解説を踏まえつつ、3点のポイントに関連した注目データを紹介します。
企業が提供する体験が製品・サービス以上に重要視される中、マーケターに期待される役割はますます拡大しており、求められるスキルも変わってきています。「サイエンスでありアートである」といわれるマーケティング業務をさまざまなスキルに分解し、個別のスキルについて自分のチームに備わっているか否か聞いたのが以下のグラフです。全般的にコミュニケーション能力や創造力、データ分析能力に強い自信を示す一方、データサイエンスやコーディング能力、心の知能指数(EQ)といった項目については自己評価が低いことが分かりました。
良質な顧客体験を提供する上では顧客理解が欠かせません。カスタマージャーニー全体を一元的に把握するためには組織の中で分野の枠を超えたコラボレーションが必要になります。ブランド構築、リード獲得、顧客獲得、顧客維持といったステージの特定の部分だけを自分の専門領域とするマーケターは今や例外的で、ほとんどが他部門と目標や指標を共有するようになりつつあります。
役割の拡大したマーケターが次に導入を計画しているツールは何か。最も利用意向が高いのはAI(人工知能)で、ソーシャルツールやマーケティングアナリティクスツールがそれに続きました。
マーケターは引き続きデジタルチャネル拡大を図っています。2018年から2020年にかけて増加率の高いチャネルとしてはSEM(サーチエンジンマーケティング)の他、カスタマーコミュニティー、モバイルアプリ、ソーシャルメディア、モバイルメッセージングなどがあります。ファン形成やインフルエンサー活用といったところに重きを置く傾向が見て取れます。
単にチャネルを増やすだけでは意味がありません。それぞれの使い方はより洗練されています。マーケターはオーディエンスのセグメント化とパーソナライズを推進しており、チャネル同士の動的な連携が増えています。
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