コロナ禍においてその在り方が問われているコンタクトセンター。「3密」を乗り越えつつ滞りない顧客対応を実現するためにできることは何か。個別指導塾のパイオニアである東京個別指導学院の実践例を紹介する。
企業にとってコンタクトセンターは顧客と直接対話が可能な重要な接点だ。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中で、大勢のオペレーターが机を並べて電話応対をするコンタクトセンターは、ウイルス感染拡大の条件とされる「密集」「密接」「密閉」、いわゆる「3密」を全て備えている職場として問題視されるようにもなっている。
感染リスクは避けたいが顧客の満足度を下げたくない企業にとって一つの選択肢となるのがコンタクトセンターのリモート化だ。先進企業の事例を探った。
ベネッセグループで首都圏および全国の都市部において260の教室を有する東京個別指導学院は1985年の創業以来、全て直営で個別指導に特化した学習塾を展開している。
提供するサービスの特性上、FMCG(日用品)のように来店してその場で購入(契約)が決まるということは少ない。折り込み広告やDM、Webサイトなどを経由して入る入塾検討者からの電話問い合わせを受け、最寄りの教室や授業の内容などを案内し、検討をへた上で契約に至るというのが一般的なカスタマージャーニーだ。
「電話での学習相談や入塾相談を受けた後、最寄り教室での体験授業や教室見学にお客さまをアテンドをするのが、私たちの業務内容です」と話すのは、東京個別指導学院カスタマーリレーション部部長の三好知彦氏だ(以下、コメントは全て同氏)。
学習相談と一口に言っても、その内容は多岐にわたる。対応するためには地域の受験情報や教務知識などを備えている必要があり、オペレーターの大部分は各教室で教室長を経験した人で構成されている。
この電話問い合わせを以前は東京・新宿にある本社のコンタクトセンターで一手に引き受けてきた。コンタクトセンターの規模は約50席。しかし、2019年12月にGenesysが提供するクラウド型コンタクトセンターシステム「Genesys Cloud(旧Purecloud)」を導入し、東京、神奈川、埼玉、大阪の4拠点に分散させた。
「将来的には、全拠点でインバウンド・アウトバウンドともに対応できるようにしていきたいが、今のところ両方できるのは東京と大阪のみ。神奈川と埼玉はアウトバウンドだけ対応しています。Genesys CloudとCRMを連携して、4拠点が1つの仮想空間で業務を行っているイメージです」
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