イノベーションを生む企業はどこが違うのか――日本能率協会調べ今日のリサーチ

企業のイノベーション創出と組織活性化に関する実態調査の結果です。

» 2020年04月17日 22時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

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 日本能率協会(JMA)は、イノベーションの実現と企業組織の在り方の間にどのような関係があるのかを探ることを目的として、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の山中伸彦教授と共同で、「企業のイノベーション創出と組織活性化に関する実態調査」を実施しました。

 調査対象となったのはJMAの会員企業およびサンプル抽出した全国主要企業の経営企画・マーケティング・人事・総務部門の役員・部長クラスの役職者(計3500社)。そのうち240社から回答を得ています(回答率6.9%)。

 今回の調査では、設問の一つとして「同業他社よりイノベーション能力に優れているか」を尋ね、「当てはまる」から「当てはまらない」の5段階で回答を得ました。その結果、「当てはまる」と答えた企業は、以下の組織風土があることが分かりました。

  • ビジョンの浸透
    • 将来像(ビジョン)、戦略、方針について従業員からの理解・共感が得られている
  • 部門間協働
    • 従業員は他部署の人に積極的に会いに行き、異質な知識・経験を各人の仕事に生かしている
  • アイデア創出と組織学習
    • 前例のない新しいアイデアでも言いやすい風土がある
    • 失敗やチャレンジから学ぶことが重視されている
  • 社会課題への高い感度と能動的行動
    • 自分たちが世の中にどう役立ちたいのかについて、日常的に会話がなされている
    • 自分たちの活動が世の中の期待に沿っているかどうか、定期的に確認している
    • 地域や環境・資源などの社会課題をキャッチしようとしている
    • 変化する顧客・市場に対して先見性を持った試みを実践している
    • 先見性を持って、新しい技術やノウハウを生かした取り組みをしている
    • 先見性を持って、地域や環境・資源などの社会課題の解決に取り組んでいる
    • 世の中の変化に応えるために、他社や地域コミュニティー、NPOなど外部と連携した活動をしている

 一方で、組織風土についての設問を複数設定し、それぞれについても「当てはまる」から「当てはまらない」の5段階で回答を得ました。「当てはまる」を5点、「当てはまらない」を1点として、イノベーション能力の企業群ごとに平均値を算出した結果、イノベーション能力に優れている企業は、「組織内で、自分たちが世の中でどう役立ちたいのかについて、日常的に会話がなされている」など、顕著に当てはまる傾向が見られました(差異の大きかった箇所に黄色で印をつけています)。

イノベーション能力と組織風土の傾向《クリックで拡大》

 この表を基に、「同業他社よりもイノベーション能力に優れているか」の設問に対する回答群ごとの組織風土の傾向(平均値)を比較したのが以下のグラフです。

イノベーション能力と組織風土の傾向

 「同業他社よりもイノベーション能力に優れているか」の設問について「当てはまる」と回答した企業群と、「全体平均」ならびに「当てはまらない」企業群における組織風土の傾向値の差を示したのが以下のグラフです。「イノベーション能力に優れている」について「当てはまる」と答えた企業群と「全体」の平均の差が1.00以上あった項目と、「当てはまる」企業と「当てはまらない」企業の差が1.80以上あった項目に赤枠で印をつけています。

イノベーション能力と組織風土の傾向(値の差の比較)

 JMAではこの結果から、イノベーション能力に優れている組織には「ビジョンが浸透している」「部門間の協働がある」「アイデアが創出され組織的に学習する」「社会課題への感度が高く能動的に働きかけている」といった特長があると考えることができるとしています。

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