Adobeは、「Adobe Analytics」と、オンラインでの商品およびサービスの売り上げを測定する新たな「デジタル消費者のショッピングバスケット」を活用して測定した初の指標を公開しました。
Adobeは、デジタル経済の状況をリアルタイムで測定した初の指標となる「Adobe Digital Economy Index(以下、DEI)」を発表しました。
DEIは、米国における上位100のオンライン小売業者のうち80社による取り引きを測定する「Adobe Analytics」を活用し、匿名化して集計された何兆件もの小売サイトへのアクセスと、米国の小売企業トップ100のうち80社が保有する数千万点の商品SKU (stock keeping unit:在庫管理における最小単位)を基に分析しています。
分析の結果、2014年以降の消費者のデジタル購買力が20%増加していることが明らかになりました。これはすなわち、2014年には1ドル20セント必要だったものが現在は1ドルで購入できるようになったことを意味します。一方で、オフラインでの消費者の購買力は低下しており、2014年には88セントで購入できた商品の購入に現在は1ドル必要になっているといくことです。Adobeは、今後より多くの人々がオンラインを活用するようになるにつれ、オフライン経済とオンライン経済は一体化され、最終的には価格も同様になると期待されると見ています。
米国のオンライン購買のシェアは、アパレル(23%)、エレクトロニクス(16%)、ホーム&ガーデン(12%)、コンピューター(8%)、食料品(8%)、家庭用工具(5%)、家電(4%)、パーソナルケア用品(4%)、花と関連ギフト(3%)、事務用品(3%)、スポーツ用品(2%)、書籍(2%)、ジュエリー(2%)、家具および寝具(2%)、ペットフードおよび用品(2%)、玩具およびゲーム(2%)となっており、非処方せん薬、医療機器および消耗品が各1%を占めています。
オンライン購入が増加する商品カテゴリーには食料品やアパレルなどがあります。食料品のオンライン購入比率は過去3年で2ポイント(6%から8%)、アパレル小売は過去5年で2ポイント(21%から23%)上昇しています。一方でオンライン購入が減少しているカテゴリーもあります。コンピューターは、モバイルデバイスへのシフトをきっかけに21%から13ポイント減少しました。
直近の数字を見ると2020年1月1日から3月11日の間に、特定の商品の購入額に顕著な上昇が見られました。手洗い消毒液、使い捨て手袋、マスク、抗菌スプレーなどウイルス対策商品は807%、市販薬(風邪薬およびインフルエンザの薬や鎮痛剤)は217%、トイレットペーパーは231%、缶詰や保存食品は87%上昇しています。また、多くの米国民が3月初頭から外出制限下にある中、運動器具(ケトルベル、ダンベル、フィットネスバイク、トレッドミルなど)とコンピューター(デスクトップ、ノートPC)のオンライン購入額はそれぞれ55%、40%上昇しました。
社会距離戦略(ソーシャルディスタンシング)の影響も顕著になっています。3月13日から15日の間で、オンラインにおける食料品カテゴリー全体の1日当たりの売り上げは100%上昇しています。BOPIS(Buy Online, Pickup in Store:オンラインで注文して店舗で受け取り)を利用した消費額が2月24日から3月21日の間で前年比62%上昇しています。
Adobe のCEOシャンタヌ・ナラヤン氏は2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で初のオンライン開催に切り替えられた「Adobe Summit」の基調講演で、現在世界が直面する困難な状況を念頭に「デジタルは確実に重要性を増してきている。これまでにも問題を解決するために数々のデジタル変革が成されてきたが、今以上にそれが必要なときはない」と述べています。
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