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» 2019年07月02日 07時00分 公開

「AbemaTV Ads CONFERENCE 2019」レポート:テレビにできなくてAbemaTVにできること 『カメラを止めるな!』スピンオフドラマ施策に学ぶ (1/2)

AbemaTVが2019年5月24日に開催した広告代理店向け事業戦略発表会「AbemaTV Ads CONFERENCE 2019」のトークセッションの内容を紹介する。

[織茂洋介,ITmedia マーケティング]

 インターネットテレビ局「AbemaTV(アベマティーヴィー)」は、第42回日本アカデミー賞で8部門を受賞した話題の映画『カメラを止めるな!』のスピンオフドラマ『ハリウッド大作戦!』を2019年3月2日に放送した。

 ネスレ日本がこのドラマのスポンサーとなった目的は、コーヒーマシン「ネスカフェ バリスタ(以下、バリスタ)」の認知と理解の向上だ。力のあるコンテンツに加え、それと連動した形の、テレビではできない斬新なタイアップCMを実施した結果、ブランド認知やインフォマーシャルへの評価について高い結果が得られ、バリスタを持っていない広告接触者の純粋想起と利用意向が大幅にアップするなどの成果を挙げたという。

 AbemaTVが2019年5月24日に開催した広告代理店向け事業戦略発表会「AbemaTV Ads CONFERENCE 2019」のトークセッションでは、ネスレ日本の村岡 慎太郎氏(マーケティング&コミュニケーションズ本部 媒体統括部 媒体統轄室 マネージャー)と広告を企画したサイバーエージェントの金子雅也氏(インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門 局長)が、この異色の企画の裏側について語った。本稿では、AbemaTVの広告媒体としての特徴にフォーカスし、そのポイントをまとめる。

「認知はあるけど理解が十分でない」を解消

村岡氏 ネスレ日本の村岡 慎太郎氏

 ネスレ日本が今回の企画に乗った前提としてまず押さえておくべきは、同社が長いことブランデッドムービー(企業がスポンサーとなって制作するショートフィルム・動画コンテンツ)に投資してきたという歴史だ。『カメラを止めるな!』のような作品を若いクリエイターと共創することについて、同社ではもともと違和感がない。

 先述したように、今回の『ハリウッド大作戦!』でネスレ日本が期待したのは、バリスタの認知と理解の向上だった。村岡氏の言葉を借りてより正確に言えば「認知はあっても理解が十分でない」状況を何とかしたいと考えていた。

 ネスレ日本ではバリスタを自分の職場に導入したい人を募って支援する「ネスカフェ アンバサダー」プログラムを提供しており、こちらは幅広い認知を得ている。ところが「実際にお客さまにアンケートを取ると、バリスタとネスカフェ アンバサダーの区別がついていない方もいる」(村岡氏)というのだ。

 そこで、バリスタへの理解を促すべく、ドラマの中で登場人物がリラックスしたり気合を入れたりする場面で、自然な流れでコーヒーを飲むカットを用意し、そこにバリスタを登場させた。いわゆるプロダクトプレースメントだ。

 加えて、登場人物(日暮晴美役のしゅはまはるみさん)をそのままCMにも登場させ、長尺のインフォマーシャルを配信した。通常の15秒CMでは言えないことも60秒あれば十分に伝わるというわけだ。

コンテンツから広告へシームレスに引き込んだ

 ここで肝となったのが、強いコンテンツと同じ世界観でシームレスにCMに引き込むことであった。「本編の視聴を最大化して、高いモチベーションでCMにつなげたい

」(金子氏)という考えから、本編のシーンをそのまま引き継ぐ形でCMに入り、バリスタをそばに置いて登場人物の一人語りが始まるという、インパクトの強い構成にした。コンテンツの世界観をブランドに引き寄せ、ブランドもまたコンテンツに歩み寄る点は、AbemaTVという柔軟性に富んだプラットフォームならではといえる。

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