Inagoraは記者向けの発表会を開催。2018年7月1日付で同社の社外取締役に就任する松本 晃氏(RIZAPグループCOO/元カルビー会長兼CEO)も出席し、同氏を招聘した理由を説明した。
中国で消費者向け越境EC事業を展開するInagora(以下、インアゴーラ)は2018年6月25日、記者発表会を開催。その席で元カルビー会長兼CEO松本 晃氏(現RIZAPグループCOO)を2018年7月1日付で社外取締役に迎えることを発表した。
インアゴーラは2014年12月にキングソフト会長であった翁 永飆(おう・えいひょう)氏が 美容家でMNC New York代表の山本 未奈子氏と共同で創業。日本のメーカーが国内にいながら商品を中国で販売することができる越境ECプラットフォームを構築・運営している。
同社ではこれまで、主力の中国消費者向け越境EC事業を強化すべく、主に流通インフラ作りのための人事を強化してきた。しかし、欠品問題や過剰在庫などを解消するためにはメーカーとの関係を含め、有効な提案をしていく必要がある。今回、メーカーでの経験豊富な松本氏をボードメンバーとして招聘したのはそうした狙いがある。
1947年生まれの松本氏は1972年に京都大学大学院を修了後、伊藤忠商事やジョンソン・エンド・ジョンソン メディカルを経て、2009年6月から2018年5月まで、カルビー会長兼CEOを務めた。同社を11年3月に東証1部に上場させて以降、9期連続で増収増益に導いた手腕は広く知られるところだ。また、退任後の6月にRIZAPグループ(以下、ライザップ)代表取締役COOに就任し、話題を呼んだ。
2018年3月27日にカルビー会長を退任することを表明して以降、松本氏の下にはさまざまな企業から入社の誘いがあったという。そして、数多く声が掛かった中から選んだのが、ライザップとインアゴーラの2社ということになる。
発表会に出席した松本氏はインアゴーラに参画した理由として「1つは、ここ3年くらい中国ビジネスに取りつかれているため」と述べた。出発点はカルビーのお客さま相談室に多く寄せられていたクレームだ。カルビーの主力商品である「フルグラ」が店頭で欠品しており買えないというもので、調べてみると中国に流れているらしいということが分かってきた。「当時、カルビーの年間売り上げは290億円程度だったが、そのうち推計60億円分くらいは中国へ流れていたと思う」(松本氏)というほどのすさまじい購買力に圧倒された松本氏は、以後中国市場を重視し、2カ月に一度は中国を訪れるようになっていたという。中国で越境ECを含むEC全般の盛り上がりを目の当たりにしてきた松本氏にとって、それを事業の中核とするベンチャー企業からのオファーは、大いに興味を刺激するものであったようだ。
もう1つインアゴーラに興味を抱いた理由が、社長の翁氏をはじめとする若い経営陣を支援したいという思いだ。「ライザップの瀬戸(健)社長は40歳、インアゴーラの翁社長は48歳。2人には共通するものを感じる。エネルギーがあって情熱があって明るく、そして笑顔がかわいい(笑)。成長に貪欲な経営者が成功していけるよう、しっかり支えたい」と松本氏は抱負を述べた。
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