Criteoは2018年1月25日、記者向けに2018年度事業戦略説明会を開催。市場環境と事業戦略、今後注力していく新商品とその背景となるテクノロジーについて説明した。
リターゲティング広告のリーディングカンパニーとして知られるCriteoは、フランス・パリに本社を構え、日本では2011年に事業を開始している。2012年にYahoo! JAPANとの資本・業務提携したことなどもあって、この分野での存在感は圧倒的だ。
しかし、市場環境は変化している。Criteo日本法人でマネージングディレクターを務めるグレース・フロム氏は「“Connect shoppers to the things they need and love(より多くのユーザーが本当に求めているものに出会えるために)”がCriteoのビジョン。私たちのビジネスはB2Bだが、ビジョンはコンシューマーの目線。コンシューマーが求めているものを基本に、これからのビジネスを考えている。これまではリターゲティング広告がメインのビジネスだったが、これからは新しいプロダクトにも挑戦していく」と述べた。
同社が今回掲げたスローガンは「リターゲィングカンパニーからマルチプロダクトカンパニーへ」だ。
Criteoのダイナミックリターゲティング広告は、Webサイトを訪問した履歴のある人に対して、その際に閲覧していた商品を別のページの広告枠にじかに表示させるものだ。興味関心が顕在化したユーザーに対して、興味を持っていたモノ自体で訴求するため、購買を強く後押しする。そのパフォーマンスには広告主の評価も高い。
リターゲティングの代名詞的な存在であり、リターゲティング市場そのものを育ててきたCriteoだが、一方でクライアントからは、新たなニーズも高まっている。そこで、興味関心が顕在化していない新規顧客の獲得や休眠顧客の活性化に役立つよう、さまざまなセグメントに対するソリューションを提供していこうというのだ。
「まずは、既存のビジネスにおいてリーディングカンパニーであり続けるために、リターゲティングの精度をさらに向上させること。そして、フルファネルへ進出すべくラインアップを拡張していく」(Criteo国内セールス部門統括コマーシャルディレクターの小野良一氏)
リターゲティングの精度向上については「ヒト軸のマーケティング」と「モノ軸のデータ分析」への転換を進める。
ヒト軸とはすなわち、Cookieベースのターゲティングからデバイスをまたいだ一意の消費者を捉えるターゲティングだ。1人の人間の行動を捉えパーソナライズされた情報を提供することが、顧客体験の向上と広告主のパフォーマンス向上につながるというわけだ。
次に、モノ軸のデータ分析とは、ユーザーが見ているモノ同士の共起性、例えばテレビを探している人は同時にテレビ台やケーブルなどの付属品や同じブランドでグレードの違う機種を探す傾向にあるといったように、同じコンテクストに出現する可能性の高いモノを見極めるために、データ分析を洗練させていくという考え方だ。
この2軸によって、同じような行動を取る人、同じものを見ている人に対して、よりニーズに合ったレコメンデーションを実現するわけだ。
従来のリターゲティングは購買ファネル全体の中では中間部分に当たる。2018年のCriteoは、ファネル全体をカバーできるよう、完全な新規顧客や既存顧客にむけたアプローチを取っていくというのだ。
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