オムニチャネル――全てのチャネルを融合し顧客情報を一元化、顧客ロイヤリティを高めて“囲い込み”を狙うトレンドキーワード

オンライン/オフラインを問わず、販売/マーケティングのチャネルをシームレスに融合する小売戦略を「オムニチャネル」という。単なる顧客誘導にとどまらず、顧客情報の一元化により、あらゆる接点で顧客との関係を維持する施策として注目されている。

» 2016年08月01日 11時50分 公開
[ITmedia マーケティング]

オムニチャネルとは単なる顧客誘導にあらず

 オンライン/オフラインのあらゆるチャネルをシームレスに融合した「オムニチャネル」の“オムニ(omni-)”は“すべての”という意の接頭辞であり、“多くの”を意味する“マルチ(multi-)”とは似て非なる意味を持つ。販売/マーケティングのチャネルとしては、オムニチャネルもマルチチャネルも、実店舗、インターネット(ECサイト、ソーシャルメディア、モバイルアプリなど)、カタログ、メディア広告など多くの顧客接点で構成されるのは同じである。しかしマルチチャネルはそれぞれ単体のチャネル、もしく

は一部のチャネル連携にとどまるのに対し、オムニチャネルは全チャネルを情報統合した「総合販売チャネル」を構築して、どのチャネルからも同じように商品を購入可能にしている点に違いがある。

 具体的には実店舗とECサイトで同一の販売・在庫管理システムを使い、実店舗に在庫がない場合にはその場でECサイトへ接続して商品を取り寄せたり、ECサイトで購入した商品を宅配ではなく実店舗で受け取ったりといったように、すべてのチャネルをバックエンドで統合した仕組みがオムニチャネルである。

しかも実店舗とECサイトだけでなく、カタログやメディア広告による通信販売など、どんなチャネルであっても同等の利便性を顧客に体験させることもオムニチャネルの特徴だ。

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