自社のWebサイトがユーザーに愛され、「あのサイト、いいよね」と、他の人にも薦めてもらえるポイントはどこにあるのでしょうか。今回は、顧客の声を聴くためのリサーチ手法「NPS」について解説します。
サイト運営者やSNS担当者の方にお聞きします。毎日、アクセス解析のダッシュボードを見ながらどんなことを考えていますか?
「最近PV数がいい感じ」
「いいね!数が倍増してる。キャンペーンは成功だな」
数字の変化をしっかり把握、より良い結果を出せるWebサイトにするための改善施策を考えながらPDCAを回していることと思います。
では、もう1つ質問です。
「昨日の訪問ユーザーは、どれくらい自社のビジネスに貢献してくれているのだろう」
「Facebookでいいね!をしてくれたユーザーの何人が、本当のファンなんだろう」
そんなことを考えながら、自社のWebサイトを見たことはありますか?
前回の記事「データは毎日見ているのに『データドリブンマーケティング』にならないのはなぜ?」で、企業がWebサイトを運営する究極の目的は「ビジネスに貢献するための手段とする」ことであるとお伝えしました。
自社の製品やサービスを好んで購入してくれるファンを集め、育て、さらに新たなファンを連れてきてもらうための場として、Webサイトの果たす役割は重要です。
あなたの会社が運営しているWebサイトやSNSに集まってきている人たちは、あなたの会社のブランドのことを本当に好きでいてくれていますか? 本当にビジネスに貢献してくれていますか?
アクセス解析で数字の推移ばかり追っているとつい忘れがちですが、自社のサイトに訪れる個々のユーザーの思いに着目するのは、実はとても大事なことです。
とはいえ、どうすればそれが分かるのでしょうか? 誰が「本当のファン」であり「ビジネスに貢献してくれるユーザー」なのか、PV数や回遊率を見ているだけでは分かりません。これを見極めるためには、まずは顧客の声を真摯(しんし)に聴くことが必要です。
Net Promoter Score、通称「NPS」という指標は最近、関連書籍やセミナーも増えてきているので、ご存じの方も多いと思います。NPSはアンケート調査で「●●をあなたの家族や友人に薦める可能性はどれくらいありますか?」という質問を投げかけ、0〜10のスコアで回答してもらうものです。ある大手保険会社では、決算報告書の中でNPSへ取り組み内容を紹介するようになっています。
NPSや推奨度などといわれてしまうと、とっつきにくい印象があるかもしれませんが、簡単にいってしまえば、これは「ユーザーの愛情(ロイヤルティー)を定量化する」指標です。直接的に「自社のことをどれくらい好きですか?」「どのくらいのファンですか?」と調査するのは難しいですが、このNPSを使うことでファン度が計測できてしまいます。
また、NPSは今のところ唯一、ビジネス指標との相関が確認されている指標といわれています。つまり、NPSが高いユーザーはビジネス貢献度が高いユーザーである可能性が高いと考えられるということです。この特徴がNPSの人気の秘密の1つです。
NPSは、ロイヤルティーを定量化するだけでなく、もっとたくさんの使い方ができます。例えば、顧客の声を集めてNPSで分析することで、コンテンツやキャンペーンを、アクセス解析とは違った目線で評価することができるのです。サイトの改善施策やFacebookキャンペーンなどをNPSから考えることで、自社のファンであり今後も引き続きビジネスに貢献してくれるユーザーを獲得し、積極的に周囲の人に口コミを広めてもらうことがでます。
事例で紹介しましょう。
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