ソーシャルメディアマーケティングの主要ツールをシンガポールから発信する日本人起業家が、Facebook中心の広告運用で“必要十分”な成果を得るための考え方を語る。
「Facebook」を活用したマーケティングで注目を集め、FacebookとFacebook広告の運用支援ツールでビジネスを拡張するソーシャルギア CEOの佐藤俊介氏。
膨大なユーザーデータに基づき、精緻なターゲティング実現するFacebookは、合理的観点から目的達成を図るためにうってつけの広告プラットフォームであると佐藤氏は主張する。
前回(広告プラットフォームとしてのFacebookに賭ける)において佐藤氏は、Facebookを単なる1メディアと捉えるべきではないと述べた。数多くある広告媒体の1つでなく、Facebook中心のデジタルマーケティング戦略の設計を唱える理由とは?
特別寄稿の後編をお届けする。
私がFacebookをビジネスの基盤とし始めてから、かれこれ7年たつが、Facebookの進化の速さには常に驚かされている。うっかりしているとすぐに置いていかれてしまう。
ここ1年ほどの間、前回紹介したキャンバス広告以外にも、広告ビジネスに関する数々のリリースがあった。
Facebookに媒体資料がないのも理解できる。
従来のメディアにおいては、例えば3カ月ごとの決まったタイミングで、各社それぞれ足並みをそろえて一斉に媒体資料のアップデートを行い、価格を改定したり、メニューを一新したりするのが普通だ。しかし、Facebookはそうはいかない。すぐに変わっていく環境に媒体資料の更新が追い付かないのだ。
Facebookでも大きなAPIアップデートは3カ月に1度としてはいるが、その間にも細かいシステムアップデートを日々繰り返している。広告商品や仕様も常に変更され、そのアナウンスを事細かにしてくることは、基本的にはない。むしろニュースサイトで彼らの新サービスを知ることも多いだろう。そのため、常にシステム面から自力で追いかけていないと情報遅延が起きる。
そのような状況なので、広告代理店は付いていくのが大変である。もはやFacebookの動きを詳しくキャッチアップしているのは現場の開発者だけといってもいいだろう。
広告主の立場でいえば、こうした理解をリアルタイムで得て広告運用に生かすことは大変なことであるが、自社でFacebook広告をガシガシ運用していなければ、それらの変化に気付くことすら難しく、すぐに浦島太郎状態になってしまう。
だが、それは逆にいえば、変化に付いていくことを厭わない意識の高い企業にとっては、Facebookがビジネスの成長を助ける強い味方になってくれるということでもある。
セルフサービスでの運用に、サードパーティー製の分析・運用ツールを導入することもできるだろう。そうしたツールは幾つか存在するので、選択に際しては、そのツールベンダーがどれだけFacebookの本質を知り、Facebookとともに開発を進めているのか見極める必要がある。
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