自社サイトの「メディア化」を目指す――ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツのデジタルマーケティング戦略「予約サイト」からの脱却

2013年末、自社サイトを大幅にリニューアルしたソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ。トップページには観光地の写真が豊富に使われ、一見したところ観光情報サイトのような印象を受ける。この大胆な取り組みの背景には、同社が新しく策定したマーケティング戦略が関係している。同社 取締役副社長(CFO兼CMO)の井上理氏に話を聞いた。

» 2014年03月05日 08時30分 公開
[池田園子,ITmedia マーケティング]

「予約サイト」のままでいると大きな成長は見込めない

池田 今回のサイトリニューアルに至るまで、どのような課題や問題意識があったのでしょうか。

井上 これまで自社サイトには、自分たちが運営しているホテルの情報だけを掲載していました。われわれはホテル運営会社ですので、主たるビジネスはホテルの運営です。その意味で自社サイトはこれまで、われわれが展開するさまざまな販売チャネルの1つという位置づけにしか過ぎませんでした。しかし、単にホテルの情報だけを掲載するといったやり方を続けていると集客力が低下し、これ以上の伸びは期待できないだろうという危機感をおぼえたのです。

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ 取締役副社長(CFO兼CMO)井上理氏

 一方、ユーザーへのポイントをフックにした楽天やじゃらんなどの大手旅行情報サービスでのシェアは、年々拡大しています。それでも構わないというホテルチェーンも中にはありますが、われわれは彼らの寡占状態を避けたいと思っているのです。ホテル業界で頂点に立つのは在庫を持つホテルではなく、空室を売るサービス企業、といった構図になりつつあります。インターネットが普及していない時代には、旅行代理店がホテルの上に存在していました。せっかく自社サイトという、独自の販売チャネルを持っているにもかかわらず、これを十分に活かすことができず、昔と同じ構図の中で事業を進めるのはどうなのか、と考えたんです。

 また、今までのホテルチェーンは、(ホテルの)ブランドに重きを置くことで集客力を高めようと考えてきたのですが、最近ではポイントプログラムを充実させることで繰り返しお客さまに来ていただこうという施策を展開するところが増えています。しかし、われわれは、見せ方次第でサイトそのものをブランド化することができるのではないか、という仮説を立てました。

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